約 1,837,544 件
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/113.html
追う鬼、追われる鬼 ◆caxMcNfNrg 「ふう・・・」 死者を告げる少女の声を聞き終えて。 ユリカは安堵の溜息をつき、直後にその自身の行為に嫌悪感を覚えた。 確かにガイの名は―密かに案じていた思い人の名も―読み上げられなかったものの・・・ ここに来てからの知人である、リリーナ=ドーリアンの名が羅列の中にあった。 つい一時間程前には、この場で顔を合わせて話していたというのに。 先程までは確実に生きていたはずの彼女は、もう、この世から消えてしまったのだ。 少女の顔を思い出し、ユリカの胸中は悲しみと不安に顔を俯かせる。 そして・・・偶然目に入ったモニターに、ある物を見つけた。 「まったく、なんだっていうのよ!」 荒れ果てた舗装道で、聞く者も居ない文句が繰り返される。 足元の小石を蹴飛ばしながらソシエは一人、進軍していた。 ちなみに、彼女の怒りの原因は先程聞こえた放送・・・では無く、 彼女に気づかずにどこかに行ってしまった、参加者達にたいするものだったりする。 (10名もの死者が出たことに対する、主催者への怒りも無いわけではないが) 「だいたい・・・助けに来たはずなのに、なんで助けた相手を忘れてくのよ」 そんな事をぼやきながら、再び小石を蹴飛ばす。 足元から勢いよく放たれたそれは綺麗な弧を描きながら、近くに出来た大きな穴の中へと消えた。 「ああ、もう!」 小石にすら馬鹿にされている。 そんな思いにかられたソシエは、肩をいからせながら石の消えた大穴へと近づき・・・ 慌てて元の場所、すなわちビルの影へと戻った。 「な、なんなのよ、あれは・・・」 十字路の中心に大きく開いた亀裂。 そこから右の方、歩いて数百メートルも行かない場所に、信じられないほど巨大なトカゲが居たのだ。 「まったく・・・なんだっていうのよ」 何度目になるかもわからない文句を繰り返しながら、ソシエは溜息を吐いた。 同じ頃、無敵戦艦の艦橋ではモニターの一点を、じっと見つめるユリカの姿があった。 ダイの左側面付近にある亀裂のあたりで、小さな人影らしき物を見つけたからだ。 一瞬で物影に消えてしまったので背格好などはわからなかった。 だが、この付近で活動している生身同然の姿をした者には、心当たりがある。 もちろん、ガイが機体を乗り捨てて帰ってきた可能性も考えたが・・・それなら、隠れる必要性も無い。 やはりあれは、リリーナ=ドーリアンを殺した人物なのだ。 ならばどうするか?相手は倍以上の大きさの機体と、互角以上に戦える力や機動力の持ち主だ。 ただでさえ鈍重で死角の多いこの機体では、まともに戦って勝てるかどうか・・・ こちらの利点を挙げるとすれば、ダイの保有している都市一つを破壊するほどの火力。 加えて補給ポイントの真上という地の利。そして、先手を取れるという有利。 おそらく・・・相手はまだ、こちらが存在を感知している事に気づいては居ないだろう。 そう考えると、こちらが取れる戦術は限られてくる。 ユリカはミニミサイル全基の照準をビルに合わせ・・・一斉に発射する。 それと同時にダイの首を補給装置のスイッチへと伸ばした。 どれくらいの時間がたったのだろうか・・・その場所にはある一点を基点とした焼け野原が広がっていた。 その中心、補給装置を覆うように佇む戦艦の艦橋で・・・ユリカは床に座り込み、震えている。 すでに暗くなった周囲には、何者の反応も感じることはできなかった。 およそ一時間以上もの間、爆風に晒され続けたのだ・・・おそらくは仕留めたのだろう。 しかし、敵を倒した喜びは無い。ユリカの胸中にあるのは不安と恐怖だけだった。 「ガイさん、はやく帰ってきてください・・・アキト・・・」 ユリカの小さな呟きが、暗い艦橋の中で消えた。 【ミスマル・ユリカ 搭乗機体:無敵戦艦ダイ(ゲッターロボ!) パイロット状態:不安 機体状態:大砲一門破損、左前足損傷、腹部装甲損壊 現在位置:D-7補給施設 第一行動方針:ガイ(アキト)を補給施設で待つ 第二行動方針:補給施設を占拠して仲間を集める 第三行動方針:ガイの顔を見たい 最終行動方針:ゲームからの脱出 備考1:YF-21のパイロットがアキトだと知りませんが、もしかしたらとは思っています アキトの名前はガイだと思っていますが若干の疑問もあります 備考2:ハイパーデンドー電池8本(補給4回分)回収 備考3:リリーナを殺した人物(シンヤ)を仕留めたと思っています】 【初日 19 20】 焼け野原と化した市街地の直下。 真っ暗な下水道をふらつきながら歩く人影があった。 折れた右足を引きずりながらソシエは一人、進軍している。 ミサイルがビルに着弾した瞬間、彼女は爆風により大きく吹き飛ばされ、 そのまま、近くにあった亀裂の中へと落ちていたのだった。 幸い水の中に落ちたので、右足の骨折程度で済んだものの・・・ その痛みと、蓄積された疲労で彼女の体力は既に限界だった。 コンクリートの壁に背を預け、少女は気絶するように座り込む。 目を瞑り荒い息を吐く少女の手には、小さな石が一つ、握り締められていた。 【ソシエ・ハイム 搭乗機体:なし パイロット状況:右足を骨折、疲労大 機体状況:なし 現在位置:D-7地下下水道 第一行動方針:休息をとる 第二行動方針:新しい機体が欲しい 第三行動方針:仲間を集める 最終行動方針:主催者を倒す】 【初日 19 30】 BACK NEXT 騎士の美学 投下順 歌えなくなったカナリア 嵐の前 時系列順 例え死者は喜ばずとも BACK NEXT 血に飢えた獣達の晩餐 ユリカ とある竜の恋の歌 血に飢えた獣達の晩餐 ソシエ 少女ハンター・ランドール
https://w.atwiki.jp/k2727324602/pages/470.html
「第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ」の攻略・その他記録集です。 ネタバレ等については自重しておりませんのでご注意ください。 <no image...> <リンク集> 公式ページ:http //www.suparobo.jp/srw_lineup/srw_alpha3/index.html Wikipedia:第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ <作品概要> <◆基本情報> 関連ページ:スーパーロボット大戦 No No.36 発売日 2005年9月15日(PlayStation2 the best)2006年6月28日 ハード PS2 定価 8,379円(PlayStation2 the best)3,990円 開発 バンプレソフト 販売 バンプレスト 主題歌 OP:GONG/JAM ProjectED:Brother in Faith/JAM Project 時系列前後 (No.35)スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATION2(No.36)★第3次スーパーロボット大戦α(No.37)スーパーロボット大戦J αシリーズ (1-1)スーパーロボット大戦α(1-2)スーパーロボット大戦α for DC(2)スーパーロボット大戦α外伝(3)第2次スーパーロボット大戦α(4)★第3次スーパーロボット大戦α <◆バンプレストオリジナル/味方サイド> 地球側主人公(4人)<男1>トウマ・カノウ(声:加瀬康之):スーパー男主人公。 <男1>ミナキ・トオミネ(声:松来未祐):スーパー男パートナー。雷鳳→大雷鳳:トウマ機 <男2>クォヴレー・ゴードン(声:泰勇気):リアル男主人公。ベルグバウ→ディス・アストラナガン:クォヴレー機 <女1>クスハ・ミズハ(声:高橋美佳子):スーパー女主人公。 <女1>ブルックリン・ラックフィールド(声:杉田智和):スーパー女パートナー。豪龍改(クスハ機)、雷虎改(ブリット機)→真・龍虎王&真・虎龍王:クスハ&ブリット機 <女2>セレーナ・レシタール(声:佐藤ゆうこ):リアル女主人公。 <女2>エルマ(声:長谷川知子):リアル女サブパイロット。ASソレアレス→ASアレグリアス:セレイン機 第2次α主人公、SRXチームゼンガー・ゾンボルト(声:小野健一):第2次αスーパー男主人公 アラド・バランガ(声:鶏内一也):第2次αリアル男主人公。リアル男ルート限定 ゼオラ・シュバイツァー(声:かかずゆみ):第2次αリアル男パートナー。リアル男ルート限定 アイビス・ダグラス(声:渡辺明乃):第2次αリアル女主人公。リアル女ルート限定 ツグミ・タカクラ(声:長谷川知子):第2次αリアル女パートナー。リアル女ルート限定 スレイ・プレスティ(声:長沢美樹):第2次αリアル女ライバル。リアル女ルート限定ダイゼンガー:ゼンガー機 ビルトビルガー:アラド機 ビルトファルケン:ゼオラ機 アルテリオン:アイビス機 ベガリオン:スレイ機 ハイペリオン:合体形態 リュウセイ・ダテ(声:三木眞一郎) ライディース・F・ブランシュタイン(声:置鮎龍太郎) アヤ・コバヤシ(声:冬馬由美) ヴィレッタ・バディム(声:田中敦子) マイ・コバヤシ(声:折笠愛) イングラム・プリスケン:霊体として登場アルブレード・カスタム:リュウセイ機 SRXアルタード「バンプレイオス」:SRXチーム搭乗 R-GUNパワード:ヴィレッタ機 ヒュッケバインMkⅢ:マイ機 その他地球人レーツェル・ファインシュメッカー(声:稲田徹) ロバート・H・オオミヤ カーク・ハミル 安西エリ ケンゾウ・コバヤシ ソフィア・ネート ビアン・ゾルダーク フィリオ・プレスティ:リアル女ルート限定。霊体として登場 イルイ(少女)/イルイ・ガンエデン(声:山内奈緒&MAYA):地球の守護者として協力ヒュッケバインMkⅢトロンベ:レーツェル機1 アウセンザイター:レーツェル機2 ナシム・ガンエデン:イルイ機 <◆バンプレストオリジナル/敵サイド> ゼ・バルマリィ帝国地球先遣隊「ゴラー・ゴレム」ハザル・ゴッツォ(声:吉野裕行):ゴラー・ゴレム司令官 エイス・ゴッツォ(声:-):ゴラー・ゴレム副官 キャリコ・マクレディ(声:成田剣) スペクトラ・マクレディ(声:中村尚子) 孫光龍(声:飛田展男):独自の思惑からバルマーに協力 アルマナ・ティクヴァー:ズフィルードの巫女。ゴラー・ゴレムに帯同して地球へ赴く バラン・ドバン(声:宮澤正):バルマー古参の戦士。アルマナの護衛役 ルリア・カイツ(声:加藤夏希):アルマナの侍従※本星の一般汎用機も使用 (汎用)ヴァルク・ベン シュムエル(ルリア用) ベミドバン:ドバン機 ヴァルク・バアル:キャリコ機 ヴァルク・イシャー:スペクトラ機 ディバリウム:エイス機 ヴァイクラン:ハザル機 真・龍王機:孫光龍機 ゼ・バルマリィ本星エペソ・ジュデッカ・ゴッツォ(声:速水奨) サルデス・ジュデッカ・ゴッツォ(声:速水奨) ヒラデルヒア・ジュデッカ・ゴッツォ(声:速水奨) エツィーラ・トーラー(声:米村千冬) シヴァー・ゴッツォ(声:屋良有作) ルアフ・ガンエデン(声:高山みなみ)(汎用)メギロート (汎用)メギロート・アフ (汎用)メギロート・ベン/赤・緑・青 (汎用)ヨエラ (汎用)ヨエラ・アフ (汎用)ヨエラ・ベン/赤・緑・青 (汎用)エスリム (汎用)エスリム・アフ (汎用)エスリム・ローシュ (汎用)ハーガイ (汎用)ハーガイ・ヤッド (汎用)ガデル (汎用)シュムエル (汎用)シュムエル・ベン (汎用)シュムエル・ベン/ネシャーマ仕様 (汎用)フーレ ヘルモーズ・エハッド:エペソ艦 ヘルモーズ・ハミシャー:サルデス艦 ヘルモーズ・シシャー:ヒラデルヒア艦 ズフィルード・エヴェッド ジュモーラ:エツィーラ機 ゲベル・ガンエデン:ルアフ機 真・霊帝ケイサル・エフェス(声:水木一郎)ラー・カナフ ラー・ケレン ラー・ザナヴ ケイサル・エフェス本体<最終ボス機> ※本作では、バイラル・ジン(「伝説巨神イデオン」より)も最終ボスの役割を担う。 <◆参戦作品> 初出年代 作品名 1970-74年 1972年:マジンガーZ 1974年:グレートマジンガー 1974年:ゲッターロボ 1975-79年 1975年:ゲッターロボG 1975年:鋼鉄ジーグ 1975年:勇者ライディーン 1976年:超電磁ロボ コン・バトラーV 1976年:大空魔竜ガイキング 1977年:超電磁マシーンボルテスV 1978年:無敵鋼人ダイターン3 1978年:闘将ダイモス 1980-84年 1980年:伝説巨神イデオン 1981年:戦国魔神ゴーショーグン 1984年:超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか 1985-89年 1985年:機動戦士Ζガンダム 1985年:超獣機神ダンクーガ 1986年:機動戦士ガンダムΖΖ 1988年:機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 1988年:トップをねらえ! 1990-94年 1991年:機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY 1994年:マクロスプラス 1994年:マクロス7 1995-99年 1995年:新世紀エヴァンゲリオン 1996年:◎真ゲッターロボ(原作漫画版) 1997年:勇者王ガオガイガー 1997年:新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 1997年:◆新世紀エヴァンゲリオン 劇場版 1998年:★電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム 2000-04年 2000年:★勇者王ガオガイガーFINAL 2002年:★機動戦士ガンダムSEED 2003年:★電脳戦機バーチャロン マーズ 2005-09年 (2005年/本作) - バンプレストオリジナル ※年代参考:資料01:SF映像作品リスト ※初出年次順で掲載。★黄色セルは新規参戦。◎は機体のみ参戦。 ※「伝説巨神イデオン」については、劇場版初出の各種要素を含む(リンク先参照) ※「超獣機神ダンクーガ」については、OVA初出の各種要素を含む(リンク先参照) ※「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」については、小説版初出の各種要素を含む(リンク先参照) ※「新世紀エヴァンゲリオン 劇場版」については、参戦タイトルとしてリストされたのが初(過去、機体・ストーリーベースでの参戦歴あり) <(参考)非リスト作品> ※上記リストにはないものの、実質的に参戦している作品 初出年 作品名 備考 1998年 ◎真ゲッターロボ 世界最後の日 機体のみ参戦(ブラックゲッター/隠し) <ゲーム情報> 【全話一覧】第3次スーパーロボット大戦αシナリオ一覧(まとめ中) 【オプション情報】(→オプション情報大事典所収)第3次スーパーロボット大戦α キャラクター事典01 第3次スーパーロボット大戦α キャラクター事典02 第3次スーパーロボット大戦α キャラクター事典03 第3次スーパーロボット大戦α キャラクター事典04 第3次スーパーロボット大戦α キャラクター事典05 第3次スーパーロボット大戦α キャラクター事典06 第3次スーパーロボット大戦α キャラクター事典07 第3次スーパーロボット大戦α キャラクター事典08 第3次スーパーロボット大戦α キャラクター事典09 第3次スーパーロボット大戦α キャラクター事典10 第3次スーパーロボット大戦α キャラクター事典11 第3次スーパーロボット大戦α キャラクター事典12 第3次スーパーロボット大戦α キャラクター事典13 第3次スーパーロボット大戦α キャラクター事典14 第3次スーパーロボット大戦α キャラクター事典15 第3次スーパーロボット大戦α ロボット大図鑑01 第3次スーパーロボット大戦α ロボット大図鑑02 第3次スーパーロボット大戦α ロボット大図鑑03 第3次スーパーロボット大戦α ロボット大図鑑04 第3次スーパーロボット大戦α ロボット大図鑑05 第3次スーパーロボット大戦α ロボット大図鑑06 第3次スーパーロボット大戦α ロボット大図鑑07 第3次スーパーロボット大戦α ロボット大図鑑08 第3次スーパーロボット大戦α ロボット大図鑑09 第3次スーパーロボット大戦α ロボット大図鑑10 第3次スーパーロボット大戦α ロボット大図鑑11 第3次スーパーロボット大戦α ロボット大図鑑12 第3次スーパーロボット大戦α ロボット大図鑑13 第3次スーパーロボット大戦α ロボット大図鑑14 第3次スーパーロボット大戦α ロボット大図鑑15 第3次スーパーロボット大戦α ロボット大図鑑16 第3次スーパーロボット大戦α ロボット大図鑑17 第3次スーパーロボット大戦α ロボット大図鑑18 第3次スーパーロボット大戦α ロボット大図鑑19 第3次スーパーロボット大戦α ロボット大図鑑20 第3次スーパーロボット大戦α ロボット大図鑑21 <攻略記録・その他雑感> 【雑感】 coming soon...
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/326.html
無題(IF41) ◆VvWRRU0SzU 柔らかな朝日が廃墟を照らす。 数時間前までは多くの人が同じ時間を過ごした基地も、今は静寂が支配していた。 その静寂の中、動く影が一つ。 蒼い体躯、孤狼が駆る鋼鉄の巨人。 かつてキョウスケ・ナンブだったモノが操る、かつてアルトアイゼンと呼ばれていたモノ―――ゲシュペンストMkⅢ。 蒼の巨人が立つその足元には、粉々となった赤銅色の装甲片―――かつてディバリウムと呼ばれていたモノが散乱している。 今少し前、新たに基地へと現れた二機。その片方がここで散り、もう片方はいずこへと逃げ失せた。 キョウスケ・ナンブは―――アインストになった男は最前の戦闘を反芻する。 敵機は二機。どちらも砲撃戦用と思しき機体。 人型はともかく、四肢のない機体に乗っていた男。あれは手強かった。 自らの生い立ちを呪う兄弟。人間の持つ憎しみがどれほどの力を生むのか、少し理解できたような気がした。 不可解なのは、何故こちらを地下に突き落としておきながら自らは撤退しなかったのか。 あの機体では太刀打ちできないと、あの聡い男なら早々に悟ったはずだが。 まあ、今となってはどうでもいいことだ。ここに、噛み砕いた残骸が転がっているのだから。 それよりも。地下に落とされたおかげでこの機体の弱点の一つたるアウトレンジ用の武装が手に入った。 ディバイデッド・ライフル。大出力のビームのみならず近接戦時には打突用の鈍器としても使用可能。 敵の懐に飛び込むことが前提のこの機体との相性は最高と言っていい。 武装面では死角はほぼなくなったと言えるだろう。 だが一つ、気にかかるとすれば。赤銅色の機体に組みついたときのことだ。 あのときに勝負は決まっていてもおかしくはなかった。両腕でしっかりと取り押さえていたこちらに対し、敵機には振り払う腕も蹴り飛ばす脚も無かったのだから。 だが、あの男は至近距離での砲撃により、己が傷つく事も厭わずゲシュペンストを引き剥がした。 ビームコートで減衰したとはいえ、あの距離での砲撃は確かにこの機体に損傷を与えていた。 機体の中央―――アインストの核に直撃していれば、あるいは撃破されていたかもしれない。 接近戦ならどうとでもなる。杭、散弾地雷、強固な装甲。この機体に敵うものはそうそうない。 だが、もしディバイデッド・ライフルでは対応不能な距離から高出力の砲撃―――例えば艦砲射撃―――を、ピンポイントで叩きこまれれば。 ゲシュペンストは最大加速には優れていても、機動性、旋回性はそれほどでもない。前衛の機体に抑え込まれ、後衛が狙撃を担当するならば、かなりの確率で敗北もあり得る。 結論―――対策が必要だ。 瓦礫の影に埋もれる一つの巨影を掘り起こす。 メリクリウス。 ローマ神話の神の名を冠し、「最強の盾」のコンセプトのもと開発された機体。 今はその身に操縦者を乗せることなく、ただ打ち捨てられていたのみだった。 基地が崩壊した時の余波にやられたか、もはや大破していると言っていい状態だ。 右腕を掲げる。巨大な杭打ち機、リボルビング・バンカー。 左腕でメリクリウスを掴み上げ、コックピットへ向けて打ち込んだ。 胸の宝玉が明滅し、杭で繋がったメリクリウスへと伝わっていく。 血流のように光がメリクリウスの全身へと行き渡り……しかし唐突に掻き消えた。 この「器」では、その個体のみで存在できる同胞は生み出せない。つまり、この身一つで戦い抜くしかないようだ。 それを確認したゲシュペンストは、右腕を引き抜き、崩れ落ちたメリクリウスを蹴り上げる。 宙に舞うそれが落ちてくる前に、頭部の角が赤熱。超高熱の刃となり、メリクリウスを胴体半ばから断ち割った。 切り離された上半身から、背部のプラネイトディフェンサーを強引に取り外す。 ビルトファルケンから取り込んだウイングの下部へ、プラネイトディフェンサーを押し付けた。 見る間に装甲が癒着し、回路が接続。 アインストのエネルギーが浸透し、正常に使用可能となるまで―――約30分。 次に、大破した大型機、月のローズセラヴィーへと向き直る。 エネルギー残量0、エネルギーデバイス全機消失。唯一原形を留めているといえる武装は、Jカイザー……大砲のみ。 これも取り込もうとして右腕を掲げるも、直前で動きを止める。 Jカイザーは軽くゲシュペンストMKⅢの体長ほどの大きさである。無理に使えないこともないが、取り回しは最悪だ。 それに何よりも、「器」の記憶にあるこの機体の使い方に合致しない。 取り込むことを諦め、距離を取る。 この箱庭にはまだ数多くの人間が生きている。そしてこの時まで生き延びているそれらは、戦闘に秀でていることが予想される。 この先、一対多の戦闘が増えるだろう。ゲシュペンストには、赤銅色の機体のように広範囲に攻撃できる武装はない。 つまり、狙うべきは一撃必殺。一機に時間をかけず、まず数の利を減らす。 最小の動作で、最高の結果を得るために。 「器」の記憶を検索。最も使用されていたモーションパターンを発見。 ウイング展開、ドライブ全開。バンカーをセット、ローズセラヴィーへと突撃する。 左腕の三連装マシンキャノンが火を噴く。 散らされた砲弾はローズセラヴィーの装甲表面を跳ね回り、穴を穿っていく。 検索した記憶では、これで敵機の動きは鈍る。 そこへ、突進の勢いのままバンカーを突き刺し、軽々と頭上へ抱え上げる。 わずか20m足らずのゲシュペンストが、50mを超えるローズセラヴィーを、片手で。 弾倉内の火薬が爆ぜ、響く六連の爆音。主なき機体の中央に深々と穿たれた空洞―――そこに。 至近距離での炸裂鋼球弾、スクエア・クレイモア。 距離を取れば広範囲に拡散し命中率が下がるこの武装は、裏を返せば近距離で最大の威力を発揮する。 跳弾の危険性など考えもしない。極近距離で撃ち出された鋼球は過たずローズセラヴィーを捕らえ、爆音と共に弾け光となり引き裂いていく。 既にバンカーの衝撃により芯に致命的なダメージを負っていたローズセラヴィーの装甲は、一つとして鋼球を弾き返すことはできず。 やがて鋼鉄の嵐が吹き去り……わずか数秒で、50mを超える巨体は欠片一つ残さず消え去った。 先程の戦闘、そして今終えたモーションパターンの確認。次からはもっと効率的にこの機体を操れるだろう。 機体の状態は良好。プラネイトディフェンサー、使用可能。消費した弾薬の生成も完了した。 出撃の準備は整った。 これからどうするか……さしあたってすることはない。ただ、遭遇した存在を撃ち貫くのみ。 先程の人間達のように、生き残っている者はここを目指しているのだろうか? なら、待ってみるのも悪くない。時間はいくらでもある。待つことには慣れている。 そうして、ゲシュペンストは一切の動きを止めた。まるで唐突な死を迎えたように。 壊滅した基地を静寂が覆う。静かな―――しかし、僅かな物音で全てが崩れ去るような、張り詰めた空気で満たされる。 孤狼は、ただ待ち続ける。 己が眠りを妨げるものを、新たな可能性を示すものを。 鋼鉄の棺の中で、男はただ、待ち続ける――― 【キョウスケ・ナンブ 搭乗機体:ゲシュペンストMkⅢ(スーパーロボット大戦 OG2) パイロット状況:ノイ・レジセイアの欠片が憑依、アインスト化 。DG細胞感染。 機体状況:アインスト化。ディバイデッド・ライフルを所持。 プラネイトディフェンサー装備。 現在位置:G-6基地跡地 第一行動方針:すべての存在を撃ち貫く 第二行動方針:――――――――――――――――――――カミーユ、俺を……。 最終行動方針:??? 備考1:機体・パイロットともにアインスト化。 備考2:ゲシュペンストMkⅢの基本武装はアルトアイゼンとほぼ同一。 ただしアインスト化したため全般的にスペックアップ・強力な自己再生能力が付与。 ビルトファルケンがベースのため飛行可能(TBSの使用は不可)。 実弾装備はアインストの生体部品で生成可能。 胸部中央に赤い宝玉が出現】 【二日目 10 30】 本編― ―
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/20.html
投下順に読む Opening~100 101~200 時系列順に読む 第一回放送まで 第二回放送まで 第三回放送まで 第四回放送まで 参加者ごとに読む キャラ別追跡表 時刻 タイトル 登場キャラ 登場機体 場所 作者 初日12 00 Opening ノイ・レジセイアアルフィミィキララクスキョウスケエクセレンロジャーテニアメルアコスモユーゼス なし 不明 131さん 未明 悩める少年 マサキカズイ 旧ザク百式 C-4 ◆BdmRjU2Op2さん 未明 魔神、起動! ガロード マジンガーZ B-1 ◆T6.9oUERykさん 未明 アンチボディ、二体 アイビスジョシュア ヒメ・ブレンクインシィ・グランチャー B-3 ◆f3zMLtBTIkさん 未明 邪龍空に在り 孫光龍 レプラカーン F-1 559さん 未明 花言葉は「勇敢」 甲児 ナデシコ D-3 ◆6.x14AMM0oさん 未明 人間様をなめるなよ 隼人 YF-19 H-4 ◆crnnAi5R12さん 12 15 人とコンピューター ジョナサンキラ JアークF-91 B-4 ◆IcNDxBraWsさん 12 20 悪の美学 ブンドル サイバスター A-8 ◆ZbL7QonnV.さん 12 50 無題 ムサシ RX-78-2ガンダム D-7 ◆T6.9oUERykさん 12 25 彼女の答え カティア VF22S・Sボーゲル2F E-2 ◆Y3PBSdzg36さん 12 30 純真なる抗体、真紅の悪鬼 クインシィラキエイジクルツ 真ゲッターネリーブレンフォルテギガスラーズアングリフ B-1???B-2 ◆9cdcQ8fLVYさん 12 30 天駆ける少女 比瑪 ペガス C-3 ◆YmyLBuF3agさん 12 30 仮面の舞踏会 ユーゼスベガ アルトアイゼン月のローズセラヴィー D-4 ◆caxMcNfNrgさん 12 30 護るために 綾人 アルトロンガンダム B-5 ◆tgy0RJTbpAさん 12 30 ホワイトドール ソシエ 機鋼戦士ドスハード E-5 ◆caxMcNfNrgさん 未明 黄色い幻影 綾人 アルトロンガンダム B-5 ◆caxMcNfNrgさん 12 40 恋と呪い アキトユリカ YF-21ダイ D-7 ◆ZbL7QonnV.さん 12 40 情け無用のロンリーウルフ キッド クロスボーン・ガンダムX2 E-6 ◆eK/Y5OG4jwさん 12 40 マジンガーZvsゲッターロボ! ガロードクインシィ マジンガーZ真・ゲッター1 B-1 ◆T6.9oUERykさん 12 45 DARK KNIGHT 統夜 ヴァイサーガ A-8 ◆T0SWefbzRcさん 12 45 心に、悪魔宿りて シンヤ サイコガンダム G-6 ◆YmyLBuF3agさん 12 50 憎悪 テニアメルアグ=ランドン竜馬 ベルゲルミル(ウルズ機)ジム・カスタムラフトクランズ大雷凰 C-8 ◆u34lXU/BOYさん 12 50 仮面の作戦会議 ユーゼスベガ アルトアイゼン月のローズセラヴィー D-4 ◆IcNDxBraWsさん 12 55 Power trip ゼクスカミーユカズイマサキゴステロ メディウス・ロクスメリクリウス百式旧ザクスターガオガイガー C-5 ◆vQm.UvVUE.さん 12 55 東北東に進路を取れ ジョナサンキラ J-アークガンダムF91 B-4 ◆eK/Y5OG4jwさん 13 00 若い、黒い、脅威 モンシアバーニィ ガンダムヘビーアームズ改ブラックゲッター H-3 ◆B042tUwMgEさん 13 00 歌と現実 ラクスヒイロ EVA零号機レイダーガンダム E-3 ◆h13q4eyrNsさん 13 20 闇色をした『王子』さま アキトユリカ YF-21ダイ D-7 ◆caxMcNfNrgさん 13 30 The two negotiators ロジャーリリーナ九鬼 騎士鳳牙ヴァルハラドラグナー2型カスタム F-7 ◆Fk59CfYpJUさん 13 30 インターミッション ゼクスカズイカミーユマサキ メディウス・ロクスメリクリウス百式旧ザク C-5 ◆vQm.UvVUE.さん 13 30 殺意は昏き火が如く 竜馬 大雷鳳 C-8 ◆ZbL7QonnV.さん 14 00 月の戦神と黄金の指 ギンガナム シャイニングガンダム A-7 ◆IA.LhiwF3Aさん 14 00 ……ぶっちゃけ、すっげー恥ずかしかった シャギアオルバ ヴァイクランディバリウム C-3 ◆ZbL7QonnV.さん 14 00 ブレンとグラン ジョシュアアイビス クインシィ・グランチャーヒメ・ブレン B-3 ◆OBzaXJXIWoさん 14 00 そして騎士は走り出す 統夜 ヴァイサーガ A-8 ◆OBzaXJXIWoさん 14 00 追悼 カティア VF-22S・Sボーゲル2F E-3 ◆Y3PBSdzg36さん 14 30 赤い彗星 アムロシャア VF-1Jバルキリー(ミリア機)核ミサイル G-1 ◆T0SWefbzRcさん 14 30 金髪お嬢とテロリスト ガウルンカテジナギャリソンコスモ マスターガンダムプロトガーランドガンダムレオパルドデストロイジガンスクード・ドゥロ B-5C-5 ◆9cdcQ8fLVYさん 14 30 ウルズ6 クルツラキエイジ ラーズアングリフネリー・ブレンフォルテギガス B-2南端 ◆Onlx.bOl5Iさん 14 30 武人ギム・ギンガナムの独白 ギンガナム シャイニングガンダム A-7 885さん 14 30 狂宴 ユーゼスベガゴステロ アルトアイゼン月のローズセラヴィースターガオガイガー D-4E-4 ◆T6.9oUERykさん 14 30 髑髏と悪魔が踊るとき キッドシンヤ クロスボーン・ガンダムX2サイコガンダムテッカマンエビル F-6 ◆IA.LhiwF3Aさん 14 30 閃光 モンシアヒイロ ガンダムヘビーアームズ改レイダーガンダム G-3 ◆caxMcNfNrgさん 14 45 始まりの葬送曲 アスランバサラ ファルゲン・マッフラーゼフォン B-6 ◆gw.2K3uEb6さん 15 00 Impact of The Red アムロシャア孫光龍 VF-1Jバルキリー(ミリア機)核ミサイルレプラカーン H-2H-1 ◆IA.LhiwF3Aさん 15 00 盤の上で駒は計略を巡らせて シャギアオルバ比瑪甲児 ヴァイクランディバリウムペガスナデシコ D-3 ◆IA.LhiwF3Aさん 15 00 核ミサイルより強い武器 テニアムサシ ベルゲルミル(ウルズ機)RX-78-2ガンダム F-8 ◆w4z2Zc6V4Mさん 15 00 カフェタイム ―あんたらつくづく…― カテジナギャリソンコスモ プロトガーランドガンダムレオパルドデストロイジガンスクード・ドゥロ C-5 ◆dHWlzxs/ngさん 15 20 美しくない アキトユリカブンドル YF-21ダイサイバスター D-7D-6 ◆T6.9oUERykさん 15 30 お姉さんと一緒 ガロードクインシィ マジンガーZ真ゲッター B-1市街地 ◆T6.9oUERykさん 15 30 貫く、意地 キョウスケバーニィ ビルトファルケン(L)ブラックゲッター E-5 ◆a1WpzCXC9gさん 15 30 死活問題 シンヤロジャーリリーナ テッカマンエビル騎士鳳牙ヴァルハラ D-7市街地付近D-7市街地 ◆Nr7qwL8XuUさん 15 30 淡い記憶と、現実 統夜 ヴァイサーガ A-1 ◆w4z2Zc6V4Mさん 15 30 気になる、あの子 アキトユリカ YF-21ダイ D-7補給施設 ◆caxMcNfNrgさん 15 50 迷いの行く先 アスランヒイロ ファルゲン・マッフレイダーガンダム F-6 ◆vQm.UvVUE.さん 16 00 一応スゴい人達 アムロシャア VF-1Jバルキリー(ミリア機)核ミサイル H-2草原側地上 ◆30UKBYJFE.さん 16 00 はじめてのしゃいにんぐふぃんがー ギンガナム孫光龍 シャイニングガンダムレプラカーン A-8 ◆h13q4eyrNsさん 16 00 我が道を往く人々 バサラガウルン ラーゼフォンマスターガンダム B-5B-5密林 ◆IA.LhiwF3Aさん 16 00 薄氷の同盟 アスランヒイロ九鬼 ファルゲン・マッフレイダーガンダムドラグナー2型カスタム F-6 ◆T6.9oUERykさん 16 00 出会いと再会 ユーゼスベガキョウスケ アルトアイゼン月のローズセラヴィービルトファルケン(L) D-4補給基地付近 ◆caxMcNfNrgさん 16 00 いい人たち シャギアオルバ甲児比瑪 ヴァイクランディバリウムナデシコペガス D-3 ◆T6.9oUERykさん 16 00 引き合う風 ブンドルマサキカミーユゼクスカズイ サイバスター百式メリクリウスメディウス・ロクス D-5 ◆y12NUCIPVsさん 16 15 パンがなければお菓子をお食べ ソシエシンヤ ドスハードテッカマンエビル D-7市街地周辺 ◆ZimMbzaYEYさん 16 20 護るべきもの 綾人ロジャーリリーナアキトユリカ アルトロンガンダム騎士鳳牙ヴァルハラYF-21ダイ D-7市街地D-7補給施設 ◆T6.9oUERykさん 16 30 楽勝! バーニィ ブラックゲッター E-5地中 ◆Nr7qwL8XuUさん 16 30 悪運 キョウスケユーゼスベガ ビルトファルケン(L)アルトアイゼン月のローズセラヴィー D-4補給基地付近 ◆ZbL7QonnV.さん 16 40 混乱 クインシィガロード統夜ギンガナム 真ゲッターヴァイサーガシャイニングガンダム B-1市街地 ◆T6.9oUERykさん 16 45 遥か高くに翼は舞い ブンドルマサキカミーユゼクスカズイ サイバスター百式メリクリウスメディウス・ロクス D-5 ◆ZbL7QonnV.さん 17 00 コーヒーブレイク 孫光龍 レプラカーン A-8 ◆ZbL7QonnV.さん 17 00 ふりまわされる人、ふりまわす人 アムロシャアエイジラキクルツ VF-1Jバルキリー(ミリア機)核ミサイルフォルテギガスネリー・ブレンラーズアングリフ H-2A-2 ◆ZimMbzaYEYさん 17 00 それぞれの立場 それぞれの道 ロジャーリリーナアキトユリカソシエシンヤ竜馬 騎士鳳牙ヴァルハラYF-21ダイドスハードテッカマンエビル大雷鳳 D-7市街地 ◆Nr7qwL8XuUさん 17 00 彼らの乗機は強力です シャギアオルバ甲児比瑪ジョナサンキラ ヴァイクランディバリウムナデシコペガスJアークガンダムF-91 D-3 ◆OWmug8uCwさん 17 10 堕ちた少女 カティアテニアムサシ VF-22S・Sボーゲル2Fベルゲルミル(ウルズ機)RX-78-2ガンダム D-6岩山の麓D-6岩山山頂 ◆ZimMbzaYEYさん 17 20 『歌』に振り回される人達 ガウルンカテジナギャリソンコスモバサラ マスターガンダムラーゼフォンガンダムレオパルドデストロイジガンスクード・ドゥロプロトガーランド B-5 ◆6OiAlncQEさん 17 40 戦場の帰趨 バーニィモンシア ブラックゲッターガンダムヘビーアームズ改 G-6基地 ◆ZimMbzaYEYさん 17 40 血に飢えた獣達の晩餐※17 55の同タイトルと同一話 ユリカロジャー(ソシエ)シンヤリリーナ(アキト)竜馬 ダイ騎士鳳牙ドスハードテッカマンエビルヴァルハラYF-21大雷鳳 D-7補給施設D-7市街地D-8市街地A-6東部高々度B-6森林 ◆Nr7qwL8XuUさん 17 45 アンチボディー ―半機半生の機体― ジョシュアアイビス統夜ギンガナムクインシィガロード隼人 クインシィ・グランチャーヒメ・ブレンヴァイサーガシャイニングガンダム真イーグル号真ジャガー号YF-19真ベアー号 H-2H-1A-2B-1 ◆Nr7qwL8XuUさん 17 55 血に飢えた獣達の晩餐※17 40の同タイトルと同一話 (ユリカ)(ロジャー)ソシエ(シンヤ)(リリーナ)アキト(竜馬) ダイ騎士鳳牙ドスハードテッカマンエビルヴァルハラYF-21大雷鳳 D-7補給施設D-7市街地D-8市街地A-6東部高々度B-6森林 ◆Nr7qwL8XuUさん 17 55 ガンダムファイト ガウルンギャリソン マスターガンダムガンダムレオパルドデストロイ B-5密林 ◆op3oYkZrywさん 18 00 第一回放送 アルフィミィ なし 不明 ◆9NAb4urvjAさん
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/142.html
我が道を走る人々 ◆C0vluWr0so 「それじゃガロード……ゆっくりと、話を聞かせて貰おうじゃないか」 B-1の戦闘から離脱し、周囲に敵影が無いことを確認。そのまま真ゲッター2を自動操縦に切り替えたガロードが聞いたのはクインシィお姉さんの刺々しい言葉だった。 切れ長の目を吊り上げて、せっかくの美貌も台無しだ。 ……いや、こういう表情も意外と悪くな―― 「ガロード! 聞いているのか!」 ……やっぱりそれは無しで。だって今のお姉さんは、怒りに震える唇やうっすらと青筋を立てている額など、真ゲッター顔負けの顔をしているのだ。 例えばここに十人の子供がいたとしたら、七人は泣き出すような顔だ。 残りの三人のうち二人はすたこらさっさと逃げ出すだろうし、真っ正面から今のお姉さんに立ち向かえるのは一人いるかいないかといったところか。 ならガロードはどうだろう? 正直に言って、泣き出したい気分だった。逃げ出せるものなら逃げ出したい。 しかし、そういうわけにもいかない。勇敢にもガロードは、クインシィと真っ正面から向き合う覚悟を決めるのだった。 「……どうも俺って、ここに来てから振り回されてばかりだなぁ……」 「何か言ったか、ガロード?」 「い、いいえいいえ! それでお姉さん、話って……まぁ、何かは分かるけどさ」 「分かっているのなら何故敵に背を向けた? 勇の手がかりと! それを邪魔した男からもだ!」 「それは謝るよ。でも……それでも俺は、あそこから逃げたことを後悔してない」 きっぱりと言い放つガロードに、クインシィは納得のいかない顔を見せる。 クインシィにしてみれば、あの青い機体はこの不可思議な世界で勇に繋がる数少ない手がかり。 そのまま打ち倒し、勇の居所を吐かすことが出来れば愛しい弟とすぐに会えたかもしれないというのに…… それだけではない。途中で乱入してきた首無しの機体。 あれはクインシィの癇に障った。どこが、というわけではない。 勇の手がかりを横から打ち伏したこと。戦っていた自分ではなく神隼人しか気にかけていなかったこと。 それでも自分と互角以上に組み合ったこと。その全てがだ。 だからこそクインシィは気に入らない。やられたままでいるのはオルファンの女王の気質が許さない。 すぐにでも駆け戻り、屈辱を晴らしたいのだが、少年――ガロード・ランは、そんなクインシィに真っ向から反するのだ。 「……何故だ。どうしてガロードはそう言い切れるんだ?」 「神さんが言ってただろ? ゲッターは俺たちが信じられないような力を秘めている。 けれど、その力のためには三人目の操縦者が必要だって。だから神さんは俺たちに三人目を捜せと 言った」 「それでは理由にならない! ゲッターは今のままでもやれる子だ、あのままでも首無しと勇の手がかりと二つとも相手に出来た!」 「確かにそうかもしれない。でもそれだけじゃ駄目なんだよお姉さん。それだけじゃ……あの怪物をどうにかすることなんか出来やしない。 俺たちよりもゲッターのことを知っていた神さんはそれが分かってた。だから俺たちに三人目を捜すことを優先させたんだ」 (勇も……、ガロードも……ッ! どうして私を否定するんだッ!?) ガロードの言葉に、クインシィは内心歯噛みする。確かにガロードの言い分も分かる。 いくらゲッターだろうが今のままでは並行世界さえ操るあの主催者たる怪物には敵わないだろう。 だが、クインシィとガロードには決定的な違いがあった。 ガロードは元の世界への帰還を目的にしている。しかしクインシィは違う。 彼女が本当に望んでいるのは愛しい弟、勇。優しかった勇だ。 「……なぁお姉さん。弟さん――勇って言ったっけ」 「そうだ」 「俺も一緒に捜すよ。絶対にお姉さんと勇を会わせてやる」 「え……」 ガロードの予想外の申し出に、一瞬だけ、少女の顔がクインシィ・イッサーから伊佐未依衣子のものに戻る。 そして―― 「――お姉さん、機影だ! 進行方向に一つ!」 「なんだと?」 一瞬見せた優しい面影は、レーダーに映る一つの機影にかき消された。 前方数十キロ先に十数メートルほどの決して大きくはない影が一つ。 地中を進む真ゲッター2ならば、このままやり過ごすことも可能だろう。 接触するのか見逃すのか、どうせ返事は決まっているだろうと思いながら、ガロードはクインシィに判断を仰ぐ。 クインシィは、ガロードの確認を鼻で笑うと、はっきりとした声で告げた。 「もちろん分かっているんだろう、ガロード? ――接近するぞ、速度を上げろ!」 「はいよ!」 ◆ 時刻は21 30、場所B-4。ようやく補給を終えたジョナサンは舌打ちを一つ。 思っていた以上に時間を食ってしまったことに軽い苛立ちを覚えながら、ジョナサンは現在の状況を確認する。 キラと別れてから三時間以上が経っている。ここからC-6に戻るには、どう急いでも一時間はかかるだろう。 つまり四時間。それだけの時間をキラはソロバン――トモロとかいったか――と過ごすわけだ。 (それはグッドじゃないな。あのいけ好かないソロバンがキラに何を吹き込むか分かったもんじゃない。 ともすれば俺を置いて勝手に何処かに行ってしまうこともあるか……) だが現状をいくら嘆こうと、100km以上の距離が縮まるわけでもない。 ええい、勝手なことをしてくれるなよ、とオルファンに祈りながら操縦桿に手を伸ばしたときだった。 突然地が割れ、こちらの二倍はあるような巨体が姿を現した。 全身にドリルが付いた――というよりむしろ全身がドリルという異質の姿にさすがに度肝を抜かれるが、呆けるのは一瞬だけ。 即座に臨戦態勢に入り、F91を空に飛ばしながら牽制代わりのマシンキャノンを放つ。 しかし敵の巨躯にとって、マシンキャノン程度は豆鉄砲のようなものらしい。 数発の銃弾が敵機の装甲を掠めるが、さしたる損傷は与えられない。 (クッ……! 硬いな。それに大きい) まともにやり合えばこちらの分が悪い。大人と子供の喧嘩のようなものだ。地力の差は如何ともし難いだろう。 下手な攻撃は意味がない。そう考えたジョナサンはバーニアを噴かし回避に専念しようとする。 だがその時ジョナサンは気づいた。 (……? あれはこちらを攻撃する気が無いのか?) 見れば敵機はこちらに攻撃を仕掛けるもなく、その場に立っていた。 キラと同類の人間かとも思ったが、どうやらそれとも違うようだ。 ある程度の高度を保ったまま相手の出方を見ている内に、ドリルから通信が入る。 「待ってくれ! こっちは戦うつもりはないぜ。 まずは話を聞いて……って、お姉さんちょっと待ってくれよ、お姉さんに任せたら――」 ――成程、合点がいった。どうやら相手はあの一機に複数人乗っているらしい。 確かにあれだけのサイズなら複数のパイロットを乗せる余裕はありそうだ。 しかしどうするか。複数人でいるということ、通信の中身から考えるに相手はすぐに殺し合いをする気は無いようではある。 だがこのゲームの意図、そしてジョナサンの目的からすると参加者の数減らしというのは出来るときに出来る限り進めておきたい。 (まぁ、このガンダムであの巨体を倒すのを『出来るとき』とはいわないな……) 半ば自嘲気味に苦笑すると、ジョナサンはひとまず接触することを決める。 相手と協力するにせよ、相手を利用するにせよ、交渉は必要である。 返す文言を頭に思い浮かべながら通信機のスイッチに手を伸ばしたときだった。 「だからお姉さんに任せたらまとまるものも――」 「五月蠅い! 私を誰だと思っている? 私はクインシィ・イッサーだ! オルファンの女王として――」 その声を聞くと自然に笑みがこぼれた。 (やってくれるじゃないか……運命ってヤツもな!) 「久しぶりだなクインシィ! 女王がバロン、ジョナサン・グレーンはお前に会いたがっていたぞ!」 「な……! ジョナサン・グレーンなのか!?」 「え、あれれ? あの人ってお姉さんの知り合いなの? もしかして俺って一人置いてけぼり?」 ◇ クインシィとジョナサンが互いの確認を終えた後の接触は、おおむねスムーズに進んだ。 余談ではあるが、クインシィがガロードにジョナサンのことを全く話していなかったと聞いて、ジョナサンは少しばかり浮かない顔をしたそうである。余談終わり。 「……それでクインシィ、お前は勇のことを捜しているんだな?」 「そうだ。勇のブレンごとな。……それで、どうするつもりだ?」 「決まっている。俺はクインシィのバロンだ。ついていくさ」 「それじゃそのキラって奴はどうするんだよ? まさかこのまま別れちまうつもりなのか?」 ジョナサンの返答にガロードが質問を重ねる。 ジョナサンがさも当然という顔で頷くのを見て、ガロードは何となくだがジョナサンのことを好きになれそうにないと感じた。 そしてガロードは一つの提案をする。 「ならさジョナサン……あんたのガンダム、俺にくれないか?」 「ハ? それは一体どういう意味だ?」 「俺はあのガンダムに乗って、一回B-1に戻りたいと思ってる」 これにはクインシィの方が反応した。 「どういうつもりだガロード? お前も私のそばにはいたくないと……そういうことなのかッ!」 「どうしたもこうしたも……って、後半明らかに論理飛躍してるよお姉さん! 俺は別にお姉さんのこと嫌いじゃないし、それとこれとは理由が別だ。とりあえず、手分けをしようって言ってるんだよ。 俺は神さんを迎えに行く。ついでに勇の手がかりって奴にも会えたらラッキーかな。 そんでお姉さん達はその間にゲッターでキラって奴のところに行ってくれないか? 単純に考えれば、二手に分かれた方が勇に会える確率も二倍って寸法だぜ」 悪くない話だろ? そう話すガロードの顔を眺めながらジョナサンは冷静に計算する。この話に乗った時のメリットとデメリットをだ。 まずメリット。クインシィと二人きりになれることだ。いや、違う。 もし分かれた両方が仲間との合流に成功した場合、得られる戦力は大違いだろう。 クインシィの優勝を目的としているジョナサンにとって、あまり強すぎる集団が出来るのは避けたいところだが、まずはクインシィと自分の安全の確保が必要だ。 強集団に入り込み、まわりの面子に盾になってもらうというのは悪い作戦じゃない。 油断している頃を見計らって行動すれば、切り捨てることも難しくない。 そしてデメリット。これは単純に今現在の戦力がダウンすることだろう。 だが、このゲッターというマシンなら、たいていの機体とは渡り合えるに違いない。これは無視しても良いレベルの問題だ。 むしろ問題はガロードという存在がいないクインシィだろう。 この二人は出会って間もないというが、ジョナサンには分かった。 クインシィはガロードに依存し始めている。これは良くない兆候だ。 (クインシィの悪い病気……というところか。勇に対しても、ガロードに対しても……) だがここでガロードとクインシィを切り離すことは後々のメリットに繋がる。 本当ならガロードのような存在は早めに排除したいところだが、無闇に自分が手を出しクインシィの不信を買うこともない。 ガロードが単独行動の最中に死んでくれるのなら――そちらの方が良いのだ。 どう考えてもデメリットよりもメリットの方が大きい。そう判断したジョナサンは賛成の意を表する。 二人の意見に押され、クインシィもガロードの案に納得した。 そして二人は機体を乗り換える。 ガロードのいたジャガー号にはジョナサンが、ジョナサンの乗っていたF91にはガロードが乗り込む。 「フン……このゲッター、なかなか良いマシンのようだな。アンチボディとは違う……だがオーガニック的な何かを感じる」 「それじゃガロード、ここで一旦お別れだ。お前にオルファンの加護があることを祈ってやる、感謝しろ」 「ああ、それじゃお姉さんもジョナサンも、俺のことキラって奴によろしく言っといてくれよ。 合流場所は……C-8、でどうだい?」 「了解だ」 ガロードは操縦席に身を落とし、モニター越しに映る月を見た。 その詳細は異なっていて、地球から見える月とは違うもののように思える。 だがそれを言うならこのパイロットシートの感触だって、計器の一つ一つだって、自分が乗っていた『ガンダム』とは違っている。 ここでもガンダムに乗ることになるなんてな、と苦笑。 しかしその目はまっすぐ前を向き、瞳には少年の運命を象徴するよう月が映り込んでいた。 「よーし……それじゃ行くぜ! ――ガンダムF-91、発進!」 【ガロード・ラン 搭乗機体:ガンダムF-91( 機動戦士ガンダムF-91) パイロット状態:全身鞭打ち・頭にたんこぶその他打ち身多数。 機体状態:微細な傷(戦闘に支障なし) 現在位置:B-4 第一行動方針:B-1にて神隼人との合流 第二行動方針:勇、及び勇の手がかり(エイジ)の捜索 最終行動方針:ティファの元に生還】 【クインシィ・イッサー 搭乗機体:真ゲッター2(真(チェンジ)ゲッターロボ~世界最後の日) パイロット状態:疲労小 機体状態:ダメージ蓄積 現在位置:B-4 第一行動方針:ジョナサンと共にキラのところへ 第二行動方針:勇の撃破(ユウはネリーブレンに乗っていると思っている) 第三行動方針:ギンガナムの撃破(自分のグランチャーを落された為逆恨みしています) 最終行動方針:勇を殺して自分の幸せを取り戻す】 【ジョナサン・グレーン 搭乗機体:真ゲッター2(真(チェンジ)ゲッターロボ~世界最後の日) パイロット状態:良好 機体状態:ダメージ蓄積 現在位置:B-4 第一行動方針:クインシィと共にキラと合流 第二行動方針:キラが同行に値する人間か、品定めする 第三行動方針:強集団を形成し、クインシィと自分の身の安全の確保 最終行動方針:クインシィをオルファンに帰還させる(死亡した場合は自身の生還を最優先) 備考:バサラが生きていることに気付いていません。 【初日22 30】 BACK NEXT 死人の呪い 投下順 未知との遭遇 死人の呪い 時系列順 未知との遭遇 BACK NEXT 極めて近く、限りなく遠い世界の邂逅 ガロード 吼えろ拳/燃えよ剣 極めて近く、限りなく遠い世界の邂逅 クインシィ 私は人ではない MISS ジョナサン 私は人ではない
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/314.html
◆ 火花が散る。数合剣戟を交え、剣刃が乱れ飛ぶ。灼熱する斧を弾き飛ばし、横に薙ぎ払う。押した。押して押し捲った。 隙はない。防御も厚い。しかし、破れる。突き破り、この男を避わすことが出来る。それが見えた。が、同時に側面を衝かれ、手痛い被害を受ける自身の姿も見えていた。 一瞬の躊躇。それで機を失う。攻めあぐね、跳び下がり距離を取る。五度目だった。突き破れる手ごたえを感じながらも、全て跳ね返された。 目の前の男は待っている。それは確実だった。薄ら笑いを浮かべながら、強引に突破を図る瞬間を待ちわびているのだ。それに乗る事は出来ない。 ブンドルは唇を噛んだ。すでに相当の時間が経過している。死者が出ていても不思議ではないだけの時間だ。それだけの時間を費やして突破も出来ない。それがプライドに傷をつけた。 互いの損傷は皆無。僅かに斧を弾き飛ばした点だけ、相手に被害を与えた。ただそれだけだ。 無傷では切り抜けられない。崩せない。手負う覚悟があって初めて傷を負わせられる。この男を突き崩せる。そう思った。 だがそれは許されないのだ。ラプラスコンピューターに損害を与えることは避けねばならない。やはり無傷で切り抜けるしかないのだ。それには切っ掛けがいる。あの男の注意を逸らすだけの切っ掛けが。 ◇ 「つまらねぇな……」 小さく呟いた。この敵はつまらない。技術技量は驚くほど高い。動きも目を見張るほどで、無駄がなく隙もない。攻めは苛烈。守りは堅固。しかし、つまらない。 恐さがないのだ。堅実で、大きく賭けに出てくるような動きを取ろうとしない。機会は何度もあったはずだ。賭けに出れば突破できる程度には、何度も崩された。 しかし、それに乗ってこない。そういう敵は手強くても恐ろしくはないものだ。つまりは、つまらない相手ということになる。 面白味という点では、アキトやテニアとか言う嬢ちゃんの方が遥かに勝っている。興味も半ば失せて来ていた。 その時だ。彼方に巨大な光輪の華が咲いた。咄嗟に背後を振り返る。その動作はモビルトレースシステムを伝わり、正確に機体に反映された。同時にゾッとした悪寒が体を包み込む。 「チィッ!!」 正面に向き直った。既に白銀の機体は驚くほど近い。無駄のない剣閃が襲ってくる。辛うじて防いだ。 そのまま二合三合と切り結ぶ。しかし、押されている。このままでは押し切られる。 思わず笑みが漏れた。 「ククク……やりゃぁ出来るじゃねぇか。なぁ!! おいッ!!!」 守りを捨て踏み込む。自らの身が傷つくことも厭わない。頭を断ち割るビームナイフの一撃。しかし、それは空を斬ることとなる。 眼前で白銀の機体の姿が変わる。人型から鳥のような姿へ。交錯。瞬く間に脇をすり抜けて背後へ。踏み込んだ分動きの遅れたガウルンは、その変化について行くことは叶わない。 振り返ったときにはその姿は既に小さくなっていた。とてもじゃないが追いつけない。 「やれやれ……やられたねぇ」 突如巻き起こった巨大な爆発。 おそらくは何らかの決着が着いたのだろう。だとすれば思ったほどの混戦にはならなかったということだ。それにあの爆発では生き残りがいるのかどうかも怪しい。いてもくたばり損ないだろう。 となれば、いまいち面白味に欠ける戦場だ。興味が急速に失われていくのを感じていた。 「骨折り損のくたびれ儲けってやつかねぇ、こりゃ。まったくお寒いねぇ」 地に落ちたヒートアックスを拾い上げたガウルンは、思わずそうぼやかずにはいられなかった。 【レオナルド・メディチ・ブンドル 搭乗機体:サイバスター(魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL) パイロット状態:良好、主催者に対する怒り、焦り 機体状態:サイバスター状態、各部に損傷、左拳損壊 現在位置:D-3 第一行動方針:ギンガナムとの合流 第二行動方針:協力者を捜索 第三行動方針:三四人の小集団を形成させる 第四行動方針:基地の確保のち首輪の解除 最終行動方針:自らの美学に従い主催者を討つ 備考:ハイ・ファミリア、精霊憑依使用不可能】 【ガウルン 搭乗機体:マスターガンダム(機動武闘伝Gガンダム) パイロット状況:疲労小、DG細胞感染、気力120 機体状況:全身に弾痕多数、頭部・左肩・胸部装甲破損、マント消失、ダメージ蓄積 DG細胞感染、損傷自動修復中、ビームナイフとヒートアックスを装備 現在位置:D-3 第一行動方針:近くにいる参加者を殺す 第二行動方針:アキト、テニアを殺す 第三行動方針:皆殺し 第四行動方針:できればクルツの首を取りたい 最終行動方針:元の世界に戻って腑抜けたカシムを元に戻す 備考:九龍の頭に埋め込まれたチタン板、右足義足、癌細胞はDG細胞に同化されました 】 【グラキエース 搭乗機体:ネリー・ブレン(ブレンパワード) パイロット状況:精神不安定。放送の時刻が怖い 機体状況:無数の微細な傷、装甲を損耗、EN残量1/2、ブレンバーにヒビ ENの減少により長距離バイタルジャンプの使用不可 現在位置:D-3 第一行動方針:アイビスと共に離脱 第二行動方針:クルツの代わりにノイ=レジセイアを一発ぶん殴る 最終行動方針:??? 備考1:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分(全体量の約半分以上)な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません 備考2:負の感情の吸収は続いていますが放送直後以外なら直に自分に向けられない限り支障はありません】 【アイビス・ダグラス 搭乗機体:ヒメ・ブレン(ブレンパワード) パイロット状況:気力回復、手の甲に引掻き傷(たいしたことはない) 機体状況:頭部損失(実質大破)ソードエクステンション装備。 現在位置:D-3 第一行動方針:ラキを問い詰める 第二行動方針:寝るのが少しだけ怖い 最終行動方針:どうしよう・・・・・・ 備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません】 【クルツ・ウェーバー 搭乗機体:ラーズアングリフ(スーパーロボット大戦A) パイロット状況:死亡 機体状況:大破】 【ギム・ギンガナム 搭乗機体:シャイニングガンダム(機動武闘伝Gガンダム) パイロット状態――――― ざわり 空気が揺れた。クルツの巻き起こした爆発の余波による電波傷害は、未だ治まる様子を見せていない。だからレーダーに反応は無かった。 しかし、肌が不穏なモノを感じ取ったのだ。それは皮膚を焦がすように熱い闘争本能の塊。濃厚にして濃密。全てを焼き尽くさずにはおれない地獄の業火。 そういったモノが、廃墟を荒野へと変えた爆発の中心地点のほうから迫って来る。間違いない。奴はまだ生きている。確信に近い思いでラキはそれを感じ取った。 顔が難しい表情を作り、思い悩む。悩み悩んだ後で、ラキは諦めたようにポツリと呟いた。 「……どちらにしてもこれしかないか。すまないな、クルツ」 クルツと自分の役回りが逆ならば、こんなことにはならなかった。クルツが命を落とすことなど無かった。 そして、今自分はクルツが残してくれた命を散らそうとしている。今度は自分の番。そう思い定めている。そういう意味での二重の謝罪だった。 通信をヒメ・ブレンへと繋げる。 「アイビス、さっきも頼んだようにこいつを頼む」 「えっ?」 モニターにアイビスの顔が映し出される。驚いた目が大きく見開かれるのが見えた。 恐らく死んでいったヒメ・ブレンの体をその内側までも綺麗に拭っていたのだろう。せめて綺麗な姿で弔ってやろう、そういう想いが、手に握り締められた汚れた布切れに込められているように思えた。 その光景にふっと頬が優しく緩むのを感じる。こんな奴だからだ。こんな奴だからこそ、ジョシュアも守って死んでいったのだろう。そういう気がした。 「ギンガナムがそこまで迫っている。私はこれからあいつを止めに行く。心配するな。お前だけは何があっても絶対に守るから」 「待って! 私も行く。ラキ、あんただけに戦わせるなんて出来ない」 懸命な目と声が迫って来る。一心に言い募ってくるその必死さに思わず押し切られそうになりながら、しかしラキはゆっくりと諭すようにアイビスの言葉を退けた。 その語調には、子供に言い聞かせる母親の温もりがどこか染み出ている。 「それは出来ない。今のお前では足手まといなんだ。分かるだろう?」 「でもそれじゃあ、あんたが……あんたも……」 「気にするな。メリオルエッセである私には似合いの最後だ」 アイビスが俯いた。分かっているのだ。自分が何の役にも立たないのだと。送り出せばもう帰って来ないのだと。 肩が震えている。泣いているのか? そう思ってもどう声を掛けて良いのか分からず、途方に暮れながらも、何故かこのときラキはジュシュアに向けるのとはまた違った愛おしさが湧き出てくるのを感じていた。 生きた時間で言ってしまえば、ラキはアイビスの十分の一も生きていない。しかし、それは母親が愛娘に向ける愛情のようなものだったのかもしれない。 やがて袖口で目元を拭ったアイビスの顔が上がり、無理に貼り付けた笑顔を浮かべる。今にも崩れ去りそうな笑顔。しかし潤んだ眼差しは真摯に見つめてきていた。 「ラキ、あんたは……あんたはもう立派な人間だよ」 そうか、泣いていたんじゃない……この娘は考えていたのだ。もう止められないと思い、最後に何を伝えられるのか、その言葉を探していたのだ。 何だろう……胸が温かい。なんとなく分かった……これは一番私が欲しかった言葉なんだろう。 ふっと目頭が弛む。笑顔で返そうとして、涙が溢れてくるのを抑えることが出来ない。 「そうか……私は人になれたのか……」 ほぅっと溜息を吐くようにして言葉が漏れる。大事に大事に言葉を口の中で反芻し咀嚼する。あたたかい。胸に灯ったぬくもりが気持ちいい。 何よりの餞だ……私には過ぎた餞別だ。思えば誰かにそう言ってもらえるのを私は待っていたのかもしれない。ありがたい。 でも、だからだ。こんなことを言ってくれる人間だからこそ守らなきゃいけないんだ。 「アイビス、ありがとう。泣くな。胸を張れ。お前は精一杯頑張っている。 ……会えてうれしかった。がんばれ」 溢れた涙が零れ落ちるのを頬に感じた。その涙の一粒でさえも今は温かい。 通信をそっと閉じる。暫くは体が震えて動くことが出来なかった。いや、胸中に湧き出てきたぬくもりを噛み締めていたかったのかもしれない。 ぐいっと潤んだ目を拭い、鼻を噛む。大きく長い溜息を一つ。 ちらりと横目で頭部を砕かれたヒメ・ブレンを確認する。その右手にはしっかりとソードエクステンションが握られていた。最後まで力強く戦った証だった。 これで憂いはもう何もない。後はどれだけ完全な状態でネリー・ブレンをアイビスに明け渡せるかだ。 キッと目元に力を込め、前方を睨みつけたラキは、いつもと同じ声、同じ態度でブレンに最後の戦いを促した。 「さぁ! 行こう、ブレン!!」 ◇ D-3地区に広がる広大な廃墟。その一角を円形に抉り飛ばし、出現した荒野の尽きるところ。 徐々に白んでいく空の下、何もない荒野と瓦礫の町の狭間でただ二つの機動兵器が全てに取り残されたようにぽつんと対峙していた。 装甲のいたるところに傷を拵え、金属特有の光沢を失っている蒼い機体ネリー・ブレン。 表面装甲の六割が膨大な熱量によって融解し、氷柱のように垂れ下がった状態で凝固しているシャイニングガンダム。 二つの機体はまさに満身創痍。だが、二機は戦う力も気概も失わず、かといって不用意には動くことも出来ずにただ睨み合いを続けていた。 全身が、汗にまみれていた。ギンガムの放つ圧力は並大抵のものではない。それを押し返し睨み合う。ただそれだけで疲労は蓄積されていく。 (ブレン、分かっているな?) (……) (すまないな。嫌な思いをさせる) これまでの交戦で互いが互いの手を読みつくしている。ゆえに迂闊な初動は即座に死に繋がる。普通ならば容易には動けないものなのだが、この男にそんなことは関係なかった。 「名残り惜しい気もするが、そろそろこの戦いも終わりだな。ならば――」 装甲が焼け爛れたシャイニングガンダムが光を発し、黄金に染まる。 緻密な計算も、姑息な浅知恵も関係ない。全てを薙ぎ倒す力の信奉者ギム=ギンガナムは吼えた。 「この一撃をもってええぇぇぇえええ!! 神の国への引導を渡してくれるっ!!!」 刹那、ブレンが一歩を踏み出し、その場から掻き消えた。ギンガナム相手に真っ向から攻める愚は冒さない。かと言って、初手から死角を使う愚かさもない。 側面を突く。しかし、ギンガナムはもう、鋭敏に反応していた。 雄叫びをあげ、ブレンバーを振るう。ぶつかった。押される。抗えたのは束の間だった。圧倒的な力で押し流される。それを何とか撥ね上げた。皹が広がる音。 二撃目。力を受け流しきれずに、ブレンバーの刀身が半ばで砕け散る。三撃目は死。次は凌ぎ切れない。だから刺し違える。命を賭してならそれが出来る。そして、それはここしかない。 跳躍。ギンガナムの右後方――左腕からもっとも遠い死角――そこへ。ギンガナムがにやりと笑った気がした。 瞬間、相手の左腕が閃光を発する。動きはここにきて尚早い。ここぞというところを嗅ぎ分けるこの男の嗅覚には、思わず舌を巻く。 三撃目。砕けた刀身を突き出した。前へ。ただ前へ。暁を背に二つの影が交錯する。ぐしゃりと砕ける音。モノが潰れる感触。 光る腕は眼前で止まり、その光を失っていた。そして、ブレンバーの刀身はギンガナムを貫いている。 「生きて……いるのか? 私は……」 死を覚悟して前に出た。にもかかわらず生きている。何故、自分は生きているのか? 生きていることを喜ぶよりも先に、疑問が思い浮かんだ。 ジョシュアがギンガナムの右腕を持っていってくれた。クルツが装甲を脆くし、機体そのものの動きも鈍らせてくれた。その彼らが開いた血路のお陰で生き残れた。 それは分かっていたが、やはり生きているということが不思議でならなかった。緊張の糸が途切れたのか、どこか呆然としているという自覚がある。 心ここにあらずというのは、こういうことなのだろうか? 「貴様、名は?」 不意に声を掛けられてびくりとした。思わず声が上擦るのを感じながら、言葉を返す。 「……グラキエース」 「ふ……ふふ……グラキエースか」 不適な笑みをこぼしたギンガナムが、ブレンバーが突き立ったまま一歩前に出る。そして、一歩が二歩に。ブレンバーはさらに奥深く突き立つこととなり、黒いオイルが血の様に噴出していた。 「貴様の名、覚えたぞォォ!! 我、魂魄百万回生まれ変わってもおぉぉおおお!!! この恨み、晴らすからなああぁぁぁああああ!!!!」 眼前の左腕が再び閃光を発した。近い。そして、反応が遅れた。避わせない。ブレンの頭部が捕まる。咄嗟に両腕でその腕を掴む。しかし、ビクともしない。 突然、恐怖が襲ってきた。この身が消え果るという本能的な恐怖。ブレンのものか、自分のものか、判別はつかない。 思わず胸をグッと掴む。あたたかい。そうだ。このあたたかさの為なら私は命を賭けられる。私が私のままで逝くことが出来る。 ジョシュアはよくやったと褒めてくれるだろうか? あいつは私の頭にぽんと手を置き、優しくなでてくれるだろうか? きっと褒めてくれる。きっと優しくなででくれる。もう悔いは……ないっ! 「跳べ! 跳ぶんだ、ブレン!!」 怨嗟の念と自身への誇りを残し、一つの命を糧に二つの機動兵機がその場から掻き消える。そして、一ブロック南――D-4地区に余りにも小さな爆発音が人知れず鳴り響いた。 ◆ ラキが出て行って暫くたってから、ネリー・ブレンが戻ってきた。その姿は泣いていた。何故だか分からないが、そんな気がしたのだ。 コックピットを覗くとそこにはラキの遺骸が乗っていた。 それとヒメ・ブレンの分の穴をネリー・ブレンと一緒に掘った。クルツは跡形もなく吹き飛んでいて、埋めるようなものは何も残っていなかったのだ。 ブレンに触れ、そっと呟く。 「ねぇ、ブレン。ラキの最後は……どんなだった?」 (……) 「そう……そうか。うん。ありがとう」 二つの遺骸を納め、土をかぶせていく。こみ上げてくるものをグッと堪える。 ジョシュアを埋めたときには泣いた。シャアが死んだときには泣く気力すら残っていなかった。 でも、今は泣くべきではないと思っていた。 みんな見事に死んでいった。そうだ。見事な最後だったんだ。死ぬときはこうありたいと誰もが思えるような見事な死に様だ。 でも……死は死だ。他の何者でもない。 そして、自分は生かされた。たまたま自分は生かされたのかもしれない。そこにいたのが自分でない誰かであっても、きっとみんな守って死んでいっただろう。 だからといって、自分が生かされたという事実はなくならない。それはやはり黙して受け止めるべきことなのだ。 今はまだ泣かない。 泣くのはやるべきことが全部終わったあとでいい。そのときに思い出して泣こう。そのときまで涙は取っておこう。 遺骸が土に隠れると胸の前で手を合わせ、ゆっくりと目を閉じる。 ジョシュアは何も言わずにただ守ってくれた。シャアは死ぬこと以外好きにしろと言った。 クルツは命を懸けても譲れないことがあることを教えてくれた。ラキはただ頑張れと言ってくれた。 そして、ヒメ・ブレンはこんな私に最後まで付き合ってくれた。文句の一言もなく。 でも、何をやるべきなのかは、誰も教えてくれなかった。それはきっと自分で決めるべきことだ。みんなが生かしてくれた自分が自分で決めるべきことだ。 そう思った。 スッと目を開けたアイビスは、顔を上げてネリー・ブレンを見上げる。真似たのか両手を合わせた姿がそこにはあった。 そのどこか滑稽な姿にふっと頬を緩ませ、墓に背を向けて歩き出す。後ろ髪引かれながらも振り向かない。振り向いてはならない。 『そりゃ、お前が引け目を感じているからだ』 ギンガナムに接触する前、ラキのことを聞いた返しに、ここに来てからの話をしたときのクルツの言葉だ。 『一方的に何かをしてもらったと思ってる。自分は何もしてないのにってな。つまり対等だと思えないんだ。仲間なのにな。 理由もないのに世話を焼かれ続けるのってきまりが悪いだろ? それと同じだ。相手は気にしてないのかもしれないが、お前はそれを気にしてる。 だったら見返してやれるぐらいしっかりした人間になればいいのさ。そのくらい自分に自信がついたら、その後ろめたさは消えるんじゃねえかな』 一人生き残ってしまった後ろめたさ。それはまだ消えない。多分そう簡単に消えるものでもないだろう。消えるようなものではないのかもしれない。 それでも、いつかは死んでいった人たちの命に見合うような人間になりたかった。 「ジョシュア、ラキ、シャア、クルツ、ブレン……あんた達はそこで見ていて……もう迷わないから。もう立ち止まらないから。 私は、私なりの生き方で精一杯生き抜いて見せるから……。だから、笑って見ていて」 墓を背に、喉元まで出掛かった嗚咽と涙を押し戻し、空を見上げたアイビスは言う。思いのほか綺麗に澄んだ声が、朝露に溶けて消えていった。 「行こう、ブレン」 ◆ すり鉢上に抉れた荒野。直径10km程もあるその荒野の上空を一羽の神鳥が飛んでいた。 その神鳥はぐるりと大きく旋回すると廃墟と荒野の境目に一つの人影を見つけて、軌道を変えた。 やがて神鳥はその男の元へと降り立つ。 「ブンドルか……」 「ギンガナム、無事だったのか」 神鳥――サイバードから声を上げ降りていく。それを目の前にギンガナムは実に誇らしげに笑った。 「うむ。危ういところだったが小生は勝ったぞ。一人は取り逃してしまったがな。だが、ギンガナム隊の勝利だ」 頭が痛い。この男、確実に修復不能なまでの溝を作ってくれたに違いない。そして、自分はこいつの一派だと思われている公算が大きい。 今後の行動に支障を来たす可能性は高かった。それに生き残った一人がギンガナムの健在を知るのもそう遠くはないだろう。眩暈すら覚える惨状である。 「ときにブンドル。貴様、マスターガンダムをどうした? まさか倒してはおらぬであろうな」 「やはりあれもガンダムというのだな。心配するな。撒いてきた」 「ならばよし! あれとは小生が戦う。貴様は手を出すなよ」 それは一向に構わない。むしろ願ったり叶ったりなのだが、これだけ暴れておいてまだ戦うつもりなのか、と心底呆れ果てる。 本当に付き合いきれない。 「ギンガナム、機体はどうするつもりなのだ? 言っておくが、サイバスターを貸す気は私にはないぞ」 見つけたときからギンガナムは一人で、機体は跡形もなかった。にもかかわらず戦う気満々である。 だから不安が過ぎる。せっかく苦労して守り通したサイバスターなのだ。あっという間に壊されてはたまったものではない。 だが、ギンガナムからはカラッと陽気な声が返ってきた。非常に上機嫌だ。 「ふん。そのような機体に頼らずとも小生にはシャイニングガンダムがある」 「見当たらないが……」 「そろそろ頃合か。よいかブンドル。小生は機体ごと禁止エリアに転移されると悟った瞬間、飛び降りた。すなわち機体のみ跳ばされたのだ。 そして、シャイニングガンダムは呼べば来る機体だ! 目には物を見よッ!!」 前後の説明がないのでいまいち理解に苦しむ。とりあえず非常識なことをやらかしたのは分かった。だが、そんなこちらの様子を気にした風もなく、ギンガナムは天高く右手を掲げる。 何だ? 何故こいつはこうまでハイテンションなのだ? こちらとしてはお前が巻き起こした惨状に頭が痛いというのに。その無邪気さが恨めしかった。 「出ろッッ!! ガンダアアアァァァァァアアアアアアアアアアアムッッッッッ!!!!!」 それがやりたかっただけだろ。そう思わずにはいられない喜々とした表情で叫び、指を弾く。地鳴りが響き。何処からともなくシャイニングガンダムが姿を現した。 しかし、その姿はお世辞に無事とはいえない。腹部に刃物が突き刺さっているのだ。その他の箇所も散々な有様である。 「見たか、ブンドル! シャイニングガンダムはこの通り健在だ。さぁ、 行くぞ!! ガンダムファイトの挑戦状を奴に叩きつけになぁぁぁぁあああああああ!!!」 溜息を吐かずにはいられない。仲間にしたのは間違いだったのだろうか……。いや、間違いなく間違いだった。力一杯そう思う。 そして、明けの荒野にギンガナムの笑い声が木霊する。 「フハハハハハハハハハハハ……ゲホッ!! ゲホゲホ!! み、水をくれ、ブンドル」 「知らん」 【レオナルド・メディチ・ブンドル 搭乗機体:サイバスター(魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL) パイロット状態:主催者に対する怒り、疲労(主に精神面) 機体状態:サイバスター状態、各部に損傷、左拳損壊 現在位置:D-3 第一行動方針:状況の把握 第二行動方針:協力者を捜索 第三行動方針:三四人の小集団を形成させる 第四行動方針:基地の確保のち首輪の解除 最終行動方針:自らの美学に従い主催者を討つ 備考:ハイ・ファミリア、精霊憑依使用不可能】 【ギム・ギンガナム 搭乗機体:シャイニングガンダム(機動武闘伝Gガンダム) パイロット状態:あちこち痛いが気にしない(気力160:限界突破) 機体状況:右腕肘から先消失、腹部装甲に折れたブレンバーが突き刺さっている 各部装甲に多数の損傷、表面装甲の六割が融解して垂れ下がり凝固、EN10% 現在位置:D-3 第一行動方針:ブンドルについていく 第二行動方針:強者を探してギンガナム隊に勧誘 第三行動方針:倒すに値する悪を探す 第四行動方針:マスターガンダムにガンダムファイトを申し込む 第五行動方針:アイビス=ブレンを探し出して再戦する 最終行動方針:最も強い存在である主催を討ち、アムロ達と心ゆくまで手合わせ 備考:ジョシュアの名前をアイビス=ブレンだと思い込んでいる】 【ガウルン 搭乗機体:マスターガンダム(機動武闘伝Gガンダム) パイロット状況:疲労小、DG細胞感染、気力120 機体状況:全身に弾痕多数、頭部・左肩・胸部装甲破損、マント消失、ダメージ蓄積 DG細胞感染、損傷自動修復中、ビームナイフとヒートアックスを装備 現在位置:D-3 第一行動方針:近くにいる参加者を殺す 第二行動方針:アキト、テニアを殺す 第三行動方針:皆殺し 第四行動方針:できればクルツの首を取りたい 最終行動方針:元の世界に戻って腑抜けたカシムを元に戻す 備考:九龍の頭に埋め込まれたチタン板、右足義足、癌細胞はDG細胞に同化されました 】 【アイビス・ダグラス 搭乗機体:ネリー・ブレン(ブレンパワード) パイロット状況:精神は持ち成した模様、手の甲に引掻き傷(たいしたことはない) 機体状況:ソードエクステンション装備。ブレンバー損壊。 無数の微細な傷、装甲を損耗、EN残量1/2、 ENの減少により長距離バイタルジャンプの使用不可 現在位置:D-3 第一行動方針:自分がするべきことを見つける 最終行動方針:精一杯生き抜く 備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分(全体量の約半分以上)な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません】 【クルツ・ウェーバー 搭乗機体:ラーズアングリフ(スーパーロボット大戦A) パイロット状況:死亡 機体状況:大破】 【グラキエース 搭乗機体:なし パイロット状況:死亡(首輪爆発) 機体状況:なし】 【残り25人】 【二日目5:30】 本編130話 Shape of my heart ―人が命懸けるモノ―(1)Shape of my heart ―人が命懸けるモノ―(2)Shape of my heart ―人が命懸けるモノ―(3)Shape of my heart ―人が命懸けるモノ―(4)
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/135.html
失われた刻を求めて ◆C0vluWr0so 「これでっ……墜ちやがれえええええ!」 ゴステロの怒号と共に放たれた勇者王必殺の拳が、空を翔るバルキリーへと襲いかかる。 暴力的なまでの力を持つ拳撃の威力は十全。バルキリーの装甲などは一撃で貫くだろう。 だがしかし、それはまともに当たればの話。 「そこかっ!」 バルキリーは空中旋回し、スターガオガイガーの拳を苦もなくかわす。 天性の操縦センスと豊富な戦闘経験、そしてニュータイプの力――それらが備わったアムロには、ただの力任せの攻撃は当たらない。 だが、それだけだ。 「ちょこまかちょこまかとうざってえんだよッ! オラオラオラオラァァァァァ!」 更に続くスターガオガイガーの猛攻。 それに対して正確無比な回避運動を続けるバルキリーだったが、反撃は無い。 スターガオガイガーの強硬無比な装甲の前には、バルキリーの通常武器では決定打にはなり得ない。 その如何ともし難い事実がアムロに回避の一手を取らせていた。 お互いに決定打となる一発が無いまま、時間だけが過ぎていく。 既に戦闘が始まってから一時間近い時間が経過し、戦場もH-2からH-1へとその場を変えていた。 シャアとアイビスを安全に逃がすというアムロの目的は、ほぼ完全に成されたと言っても良いだろう。 だが、このままこの敵を放置し、逃げ出すわけにはいかない。 アムロが見たところ、このパイロットは正常な判断能力を失くし、破壊衝動のままに暴走を続けている。 しかし敵パイロットの操縦スキルは低いどころか、エースパイロットのそれと比べても遜色無いものだ。 異常なまでの破壊衝動、エースパイロットの技量、そして攻守共に万全な強機体。 このまま放置すれば、間違いなくこの戦場に悪意を撒き散らし、多くの戦いをもたらすことになるだろう。 (出来れば首輪を確保したかったが……そうとも言ってられないな) 直撃こそ無いものの、強力なパワーの余波と無理な回避運動の影響か、徐々にではあるがバルキリーの状態が悪くなってきている。 戦いが長引けば長引くだけ、たった一発の直撃で墜ちるバルキリーが不利だと判断したアムロは、機体を北へと飛ばす。 「ヒャハハハッ! 逃がすかよぉ!」 自機から離れ出した戦闘機に対し、ゴステロは追撃を選択する。 しかし、高々度での戦闘を想定して設計されたバルキリーとの距離は縮まるどころか次第に広がり始めてた。 かと思うとバルキリーは速度を落とし、また距離を縮める。 獲物であるはずの相手に遊ばれている――そのことに気づいたゴステロは怒りを爆発させた。 「くぉのやろおおおおおお! 死にやがれえぇぇぇぇぇ!」 力任せにブロークンファントムを繰り出すも、バルキリーにはかすりもしない。 ゴステロの怒りは、ただ募っていくのみだった。 (さぁ来い……ここで決めてみせる!) 無論この挑発的行動もアムロの狙い。 より激しい怒りを以て、ただでさえ鈍っているゴステロの判断力を更に下げるのがその目的だった。 アムロの考えた作戦を成功させるには、相手の油断と隙をつく必要がある。 これはそのための下準備。 次にアムロは弾薬の残量をチェック。 通常武装が決定打にならないと判断した時点で回避に専念し始めたため、弾薬は半分残っている。 これだけあれば、一瞬の隙を強引に作ることも可能だろう。 そこまで確認したアムロの視界に入ってきたのは、夜闇の中輝く光壁。 そのずっと先には壁が二枚垂直に交わる姿が確認出来た。 勝負を決するのは、地図の最北東に位置し、A-1、A-8、H-1、H-8の四つのエリアを結ぶここ。 アムロはスロットルを倒し込み、一気にスターガオガイガーとの距離を離しにかかった。 そして二枚の壁が交差する一点、その直前で機体をバトロイドに変形、停止させ、地上に降り立つ。 「ようやく追いつめたなぁ。さぁ……ぶっ殺してやるぜぇぇぇぇ!」 やや遅れバルキリーに追いついたゴステロは、舌なめずりをしながら感情を昂ぶらせていく。 その歪んだ表情からは抑えきれない憎悪と激怒が滲み出ていた。 それに対しアムロは、 「やれるものならやってみればいい。その機体は飾りか?」 と、挑発的な態度を崩さない。 …………プチン、と音が聞こえた気がした。 「……そんなに死にてぇのかよぉぉぉぉぉぉ! お望み通りぶっ殺してやるぅぅぅぅぅ!!」 怒りが頂点に達したゴステロはスターガオガイガーをバルキリーへと突撃させる。 バルキリーを遙かに超える質量を持つスターガオガイガー。 巨体の突進が巨大なパワーを産み出し――更にGSライドが輝き、勇者の力は完全な破壊の力に転換された。 産み出された超パワーは右拳の一点に集中し、バルキリーを撃ち貫く破壊の鎚に変わる。 だがしかし、超加速を続ける勇者王の射線の先にいるのはただのパイロットではない。 連邦の白い悪魔と恐れられ、幾度もの大戦を潜り抜けてきた真の戦士である。 「――見える! ここだっ!」 勇者王の突撃が最高速に乗る一瞬前に、アムロはバルキリーに残されたありったけの武装を放つ。 だがスターガオガイガーから迸るエネルギーは、ホーミングミサイルを始めとするバルキリーの攻撃を寄せ付けない。 アムロの攻撃はその殆どが直撃することなく寸前で爆発。 しかし、ホーミングミサイルとガンポッドが撒き散らす爆煙がスターガオガイガーを包み、ゴステロの視界が一瞬遮られた。 半瞬の後、スターガオガイガーは爆煙の中から飛び出す。 その先には、バルキリーがいるはずだった。――だった。 「なにぃっ!?」 一瞬と半瞬の間隙、ゴステロが目を離したのはその一刹那のみ。 だが、そのわずかな間に戦況は一変した――バルキリーが、いない! 「どこだっ! どこへ行きやがった!?」 ゴステロの叫びが一人空しくこだまする。 それに応えるかのようにスターガオガイガーの背面に衝撃が走った。 「なにぃ! 後ろだとっ!?」 振り返ろうとするゴステロの視界に入ったのは、人の形に姿を変えたバルキリー。 その右腕がスターガオガイガーの背中を押している。 「このまま……押し切ってみせる!」 スターガオガイガーの強固な装甲にはバルキリーでは太刀打ちできない。 最後の切り札、反応弾もあったが、あまりにも高すぎるその威力と攻撃範囲は自機さえも巻き込んでしまう危険性をはらんでいた。 本来の反応弾の使用目的は、宇宙空間での対大型艦の撃滅。広大な宇宙空間で充分な距離を取って初めて使える代物だ。 ならば距離を取ればいい――そう考えるのは、単純過ぎるというものだろう。 この空間の持つ特殊な性質の一つ、極端な電波妨害は通信の障害になるだけではない。 長距離におけるミサイル誘導、及びそれに類する攻撃の制御に関する電波までも遮断する性質を持っていた。 そのため、反応弾を長距離から撃つことは不可能。 下手に撃てば制御が出来なくなった途端に爆発し、バルキリーを巻き込む可能性がある。 つまり、バルキリーがスターガオガイガーに対抗出来る武装は皆無、ということである。 だが、対抗出来る武装は無くとも――対抗する手段はある。 「ぐぅぅぅ! 止まりやがれぇぇぇ!!」 GSライドとウルテクエンジンによって最大まで加速されたスターガオガイガーは止まらない。 慣性のまま直進するその先にあるものは光の壁。 更にその奥にあるものは――禁止エリア。 アムロの作戦、それはゴステロをスターガオガイガーごと禁止エリアに叩き込むというもの。 如何に装甲が厚かろうが関係ない。ただ押し込むだけで、ゴステロの首輪は爆発する。 今までの攻防の全ては、その状況に持ち込むための準備だった。 案の定ゴステロはアムロの挑発的な態度に激昂し、一直線に突撃を試みた。 残弾の殆どを費やし一瞬の隙を作ったアムロは、瞬時に地上での移動に長けたガウォークへと変形し、ゴステロの背後に回り込み。 そのまま、禁止エリアに向けてスターガオガイガーを押し込む! 「たかが機体一つ……バルキリーで押し込んでみせる!」 「こぉのやろぉぉ!!」 だが、ゴステロもただでは終わらない。 行き場を無くした拳を地面に突き刺し、減速を試みる。 粉塵と土煙を上げながら、スターガオガイガーのスピードは徐々に落ちていく。 壁まで、残り100メートル。 バルキリーに異変が起きた。 度重なる急激な回避運動に悲鳴を上げていたエンジン。その出力が落ちていく。 それに対し、スターガオガイガーはその出力を上げていく。 GSライドが輝き、ウルテクエンジンが唸りを上げ、勇者王はその名に恥じない力をその身に漲らせていった。 「後少し……後少しなんだ! 保ってくれバルキリー!」 「へっ! 残念だったな……!」 燦然と輝く壁のたった10メートル前で、バルキリーは力尽きた。 スターガオガイガーは減速し、 停止し、 反転した。 「お前に俺はやれねぇよぉ! 死にやがれぇぇ!!」 再びバルキリーに向かって拳が放たれる。 一筋の流星の如く伸びる一撃を受けながら、バルキリーは自ら背後へと飛び衝撃を受け流す。 しかし、たとえ力の半分を受け流せたとしても、勇者王の一撃はバルキリーの装甲を貫くに十分。 満足に動かない機体を、それでもアムロは執念と共に動かしていく。 「ひゃはははは! もう諦めちまいな! どうせお前はこの俺様から逃げられやしないんだからよぉ」 「それでも……俺は諦めない! 最後のその時まで人は生きることを諦めたりしないんだ!」 「そうかい。その心意気はリッパだが……そのまま終わっちまいな!」 再度放たれた拳撃を前に、アムロは避けられない死を予覚した。 思えば、自分は人を殺しすぎた。 終わらない争いを止めるため――そして、生き残るため。 一年戦争の頃の自分と、この殺し合いを強要され、生き残るために他者を殺す人間と、一体何が違う? 戦わなければ生き残れない。 だから殺す。 それは、生物全てに共通する道理だ。 生きるために、食べるために殺す。 住むために、眠るために、他者を殺し、そして生きのびる――それが、人間本来の生き方だったのではないのか? 『……それは違うぞ、アムロ』 なっ……! その声、シャアか!? 『確かに、私もお前も命を奪いすぎた。だが、私はそれを間違いだとは思っておらんよ』 何故だ! ララァを失ったお前がそれを言うのは! 『命とは、消えるものではない。受け継がれるものなのだ。 ララァの魂は私の血肉となった。そして……私の命も、また誰かの礎となるだろう』 ――! シャア、まさか……! 『さらばだ、アムロ。再び会うことは無いだろうが…… 私はお前を好いていたよ。お前なら……あるいは人の光を導けるのかもしれない』 待てシャア! お前は……! 『立てアムロ! ここで終わるお前では無いはずだ!』 ――瞬時、アムロの意識は覚醒した。 バルキリーを貫くはずの拳は…… 「てめぇ……! 一体なにもんだぁっ!」 「フッ……。醜きを討ち、美しきを助ける者だ」 白銀の機体の構える白き剣によって阻まれていた。 ◆ 眼前の機体の織りなす剣技――あまりにも鮮やかな太刀筋と抜きの速度に、アムロは圧倒されていた。 一太刀舞えば獅子が転び、二太刀抜けば装甲が破れる。 先ほどまでアムロを圧倒していた剛力を華麗に受け流し、翻弄するその技量。 白銀の機体が近接戦闘に長けた機体だろうということを考慮しても、その搭乗者の才覚はただものではない。 そのままスターガオガイガーを圧倒するかと思えたその時―― 白銀の機体は踵を返し、こちらに向かいながら通信を入れてきた。 「そちらの機体、状況は? 動けるのなら即座にこの場を離れることを提案しよう。 出来ることならば、貴君の協力を願いたい」 「こちらアムロ・レイ。貴君の援護、心から感謝する。 こちらの機体の状況は万全とは言い難いが、離脱程度なら問題ないはずだ」 「そうか。ならば行動は迅速に行おう。……急がなければ、あの機体が追いついてくるかもしれないからな……」 アムロが聞く男の声はいささか疲れたものだった……何故? 答えは簡単。 ここに来るまでに、サイバスターはある機体に追われ続けていたからである。 その機体とパイロットとは…… 「な に ぃ っ 、 ア ム ロ ・ レ イ だ と ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! !」 「なっ、何なんだあの機体は!? ガンダムなのか?」 「クッ、追いつかれたか……」 白き装甲に身を包んだ機体。その頭部にはガンダムタイプであることを示す二対の角が存在していた。 ガンダムファイト第13回大会ネオジャパン代表MF、シャイニングガンダム―― ガンダムファイトにて猛威を振るったその右腕は、肘から先を切断され無惨な断面を晒している。 だがその代わりに、ガンダムは全身にかつてないほどのエネルギーを纏わせていた。 搭乗者の感情の高ぶりをそのまま機体にフィードバックするシステムを備えたシャイニングガンダムは、そのポテンシャルを最大限に発揮し始める。 「黒歴史に名高いその戦技、しかとこの目に焼き付けさせてもらおうかぁ!」 気迫と共に放たれたギンガナムの咆吼がその場に響く。 「小生の名はギム・ギンガナム! アムロ・レイよ! 名門の誉れ高いギンガナム家の名の下に、貴殿に決闘を申し込む!!」 ――そして、しばしの沈黙。 「……は?」 ややあって間抜けな声が返ってくる。 それはあまりにも唐突な展開に呆然とするしかないアムロの呟きだった。 「アムロといったか。あの男を知っているのか?」 「いや、あのパイロットについては皆目見当もつかない。 あの機体は俺の知るものに酷似しているが……君が危険視していたのはあれなのか?」 「そうだ。ここに来る途中で遭遇した。厄介な相手だったために振り切ってきた……つもりだったのだが」 「フフフ……アムロ、アムロ・レイか。 黒歴史の中の無数の戦乱……その中でも最強の力を持った真の戦士とこのような出会いをするとは。 あの異形もなかなか憎い演出をしてくれるではないか!」 握る拳に力がこもり、熱き血潮が滾っていくのを感じながら、ギンガナムは眼前の機体に目を向ける。 夢にまで見た相手との邂逅……2500年もの長きに渡り真の闘いを求めてきた武人は、燃えに燃えた。 「ふぅぅぅぅぅっ、ぬぅぅぅぅぅぅぅっ! さぁシャイニングガンダムよっ! ガンダムの名を世に知らしめた勇者に、我らの力を見せつけてやろうではないかぁっ!!」 ギンガナムの叫びと共に、シャイニングガンダムはその身を黄金に染めていく。 怒りではなく、純粋な喜びと戦意によって高められた感情のうねりが、ガンダムに力を与えていく。 そしてギンガナムがアムロに飛びかかろうとした瞬間、 「お前ら……俺を馬鹿にするんじゃねぇっ!」 ゴステロの拳が、ガンダムを襲った。 突然の乱入者二人に完全にペースを乱されたゴステロは、怒りの拳を無造作に振るう。 しかし、ギンガナムはこれを察知。ぎりぎりのところでスターガオガイガーの拳を避ける。 シャイニングガンダムは身体を反転させ、スターガオガイガーと正対した。 「貴様、武人の闘いに横槍を入れるとはどういうことかと知っての行いかっ!」 「武人だぁ? けっ、そんなもの関係ねぇ! 俺は俺のやりたいようにやるんだよぉっ!」 「ならば……王者アムロ・レイと戦う前の前哨戦といくぞ!」 ギンガナムは左腕をぐっと手前に引き、右腕をスターガオガイガーに向けて、高々と突き出す。 対するゴステロは、構えなど無用とばかりに先ほどバルキリーに向けてしたように右腕に力を注ぎ込んでいく。 共に片腕を亡くした者同士、互いに狙うは一撃必殺。 両者は睨み合い、そして一瞬の後――激突した。 ギンガナムの憧れと情熱と正義の込められた左拳と、ゴステロの狂気と憎悪と悪意の込められた右拳が衝突。 激しい音を立てながら火花を散らす二人の間には、ある一つの思い以外は存在しない。 ――ただ相手を倒す。 慢心など欠片もない。気を抜けば押し負けるということは、本能的に悟っている。 そして両者の力は完全に拮抗していた。 ぶつかり合ったまま、一歩も動かない。否、動けない。 そして同時に考える。 この状況を打破するには―― ( 更に大きな力でねじ伏せる! ) 「うおおおおおおおおおお! もっとだ! もっと輝けシャイニングぅぅぅぅ!!」 「クソやろおおおおおおお! 力がたりねえんだよおおおおおおおおお!!」 ギンガナムとゴステロ、互いに力を求め、吼える。 シャイニングガンダムとスターガオガイガーは共に心の力を糧に更なる力を得る機体。 しかし、二つには大きな違いがあった。 シャイニングの求める感情の高ぶりはギンガナムに存在したが、スターガオガイガーの求める勇気はゴステロには存在しない! ここにきて、力の均衡が崩れ始める。 スターガオガイガーは、じりじりと後退していた。 そして、互いの拳に込められた力の差異は更に大きくなっていく。 シャイニングの輝きがより一層激しくなった時、スターガオガイガーの右拳は砕けていた。 「なにぃっ!? おっ、俺がこんなところで……! エイジっ、エイジいいいいいいいい!!」 シャイニングガンダムの左拳はスターガオガイガーの右拳を打ち砕いた勢いそのままに胸部装甲に抉り込み。 溜め込まれたエネルギーはスターガオガイガーの内部で炸裂した。 そして――勇者王は崩れ落ちた。 「フフフ……ハハハハハハハ! この我が身に走る喜びは演習では得られない! 命を賭けた実戦でしか味わえない! 小生は……勝ったぞおおおおおおお!!」 一人、ギンガナムの勝鬨のみがこだまする。 ……そう、『一人』。 「さぁ次はアムロ・レイ、貴殿と……っと、いないだとおお!?」 ギンガナムとゴステロが一閃交えていた間に、サイバスターとバルキリーは戦場からの離脱を果たしていたのだった。 ギンガナムがいくら叫ぼうとも返事一つ返ってきやしない。 「だが……まぁ良いとしよう。この獅子の姿をした機体も、月での演習では手に入らない喜びを教えてくれた。 アイビス=ブレンといいアムロ・レイといい、この場には小生の積年の夢を叶えてくれる者たちが数多揃っている。 ……この調子ならば、シャア・アズナブルなどもいるやもしれんなぁ。 ククク……楽しくなってしまうではないかぁ!」 ギンガナムは笑う。自分の夢、黒歴史との邂逅を果たし。 その男の表情は、これ以上ないというほどに満ち足りていた。 ◆ 場所は変わってA-1。 一際高くそびえ立つビルの影で、二つの機体がその身を休めている。 その内の一機VF-1Jバルキリーの中で、アムロは先の戦いから離脱する間際に見た、あってはならない光景を思い出す。 ――あれはまさに夜中の夜明け。 間違いない。西南の方角に見えたあの光は核だ。 (シャア……やはりお前は……) おそらく、シャア・アズナブルという存在はこの世から消えてしまった。 それはアムロに言い様のない喪失感をもたらす。 敵として、味方として、常にアムロにプレッシャーを与えてきた男シャア・アズナブルはもういない。 「……俺は、何をしているんだ……!」 シャアとアイビスだけにしたのがそもそもの間違いだったのか? 自分がもっと速くゴステロを倒し、二人の下に駆けつけられたなら二人を助けることが出来たのではないか? 「くそっ!」 苛立ちと共に拳を振り上げる。だが、その拳が振り下ろされることは無かった。 (ここで……終わるわけにはいかない。ブレンの力なら、あるいはアイビスだけでも核から逃れられた可能性がある。 アイビスを見つけ出す。これ以上こんな憎しみの連鎖を続けさせてたまるか!) と、その時、白銀の機体――サイバスターから通信が入った。 「アムロ・レイ。思うところもあるだろうが……ひとまず私の話を聞いて貰えないだろうか」 「……ああ。まずは助けてくれたことの礼を言わせてくれ。君の援護がなければ今頃俺の命は無かったかもしれない。 しかし、君は何故俺を助けた? あの状況ならばあのライオンのようなロボを助けてもおかしくはなかったはずだが……」 アムロの問いに、何よりも美を愛する悪はさも当然と返答を返す。 「何、あのライオンの動きには美がない。対し、君の操縦には言い様もない美を感じた。 まるで一級の美術品のような気品、賞賛に値するものだ。理由などそれだけだよ。 そして覚えておきたまえ。 レオナルド・メディチ・ブンドル。この下卑た殺し合いを終わらせる者の名だ」 【アムロ・レイ 搭乗機体:VF-1Jバルキリー(ミリア機) (マクロス7) パイロット状況:疲労、喪失感 機体状況:左腕肘から先を消失、弾薬の殆どを消費、エンジン不調(簡単な整備で復調可能) 現在位置:A-1 第一行動方針:ブンドルとの情報交換 第二行動方針:アイビスの捜索 第三行動方針:首輪の確保 第四行動方針:協力者の探索 第五行動方針:首輪解除のための施設、道具の発見 最終行動方針:ゲームからの脱出 備考:ボールペン(赤、黒)を上着の胸ポケットに挿している シャアの死亡を悟っています】 【レオナルド・メディチ・ブンドル 搭乗機体:サイバスター(魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL) パイロット状態:良好、主催者に対する怒り 機体状態:サイバスター状態、ダメージ微少 現在位置:A-1 第一行動方針:アムロと情報交換をし、脱出への協力をしてもらう 第二行動方針:A-1周辺の参加者を捜し、保護する(特に技術者を) 第二行動方針:基地の確保のち首輪の解除 最終行動方針:自らの美学に従い主催者を討つ 備考:ハイ・ファミリア、精霊憑依使用不可能】 【ギム・ギンガナム 搭乗機体:シャイニングガンダム(機動武闘伝Gガンダム) パイロット状態:テンション最高潮(気力150) 機体状態:右腕肘から先消失、胸部装甲にヒビ、全身に軽度の損傷 現在位置:H-1 第一行動方針:倒すに値する武人を探す 第二行動方針:アムロ・レイ、アイビス=ブレンを探し出して再戦する 最終行動方針:ゲームに優勝 備考:ジョシュアの名前をアイビス=ブレンだと思い込んでいる】 【ゴステロ 搭乗機体:スターガオガイガー(勇者王ガオガイガー) パイロット状態:死亡 機体状態:大破 現在位置:H-1】 【残り33人】 【初日 21 20】 BACK NEXT とある竜の恋の歌 投下順 火消しと狼 Take a shot 時系列順 MISS BACK NEXT 赤と流星、白と勇者王 アムロ Unlucky Color 騎士の美学 ブンドル Unlucky Color マイペース二人 ギンガナム 爆熱! ゴッド晩ごはん!! 赤と流星、白と勇者王 ゴステロ
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/152.html
何をもって力と成すのか ◆7vhi1CrLM6 騎士凰牙がJアークに着艦する。107mのJアークに対して28.5mの凰牙、約四分の一の大きさを誇るそれはとても艦内に収まる大きさではなく甲板に係留されこととなった。 その作業を終えて、一人の男が艦内へと歩を進める。 ロジャー=スミス――土がつき血に汚れてはいるが、仕立ての良い黒スーツを隙なく着こなすその男を見て、ソシエ=ハイムはどうしたものかと一人考えた。 考えたことは話し合いについてではなく、礼儀作法について。貴族とは言わないまでも田舎の名士程度には上等な生まれであるソシエは最低限の礼儀は仕込まれてはいる。 つまり、それなりの身なりをした相手に行儀良くするべきかを迷ったわけである。 が、生まれのわりに活発過ぎるほど活発なソシエは、窮屈なそれが嫌いであった。それにここには『お行儀がわるいですよ』と口を酸っぱくして注意してくるキエルお姉様もいない。 そんなわけで、ちょっとした逡巡の後、お行儀良くする気をソシエは失った。 その間に歩みを進めて来た男は、ブリッジに入ると何気ない所作で周囲を見渡していた。 ◇ 「先ほどの通信でも名乗らせていただいたが、改めて名乗らせていただこう。 私の名前はロジャー=スミス。ネゴシエイターを生業としている」 「ソシエ=ハイムよ。あっちで寝ているのがキラ=ヤマト」 「トモロだ」 そんな決まりきった挨拶からロジャーとJアークに寄り集まった者たちの話し合いは始まったが、しょっぱなからロジャーは驚きに身を固くしていた。 ロジャーはソシエとキラの二人の他には、誰もいないことをロジャーはさっき確認している。にもかかわらず声が不意に響いてきたのだ。 どちらかというとこれは愉快な出来事ではない。注意は払っていたのだ。自尊心をちょっと傷つけられたという思いも少しあった。 だから少し棘を含ませて「よければ姿を見せていただけないかな?」と言ったロジャーに対して、トモロは「私ならば君の目の前にいるよ。あるいは中というべきかな」と応じてきた。 その意外な言葉に思わず狐につままれたような顔になり「中?」と間の抜けた声で返してしまい。ロジャーは二度も話の主導を取られたことを悔しがる羽目となった。 「私はこの戦艦Jアークに搭載された生体コンピューター。Jアークを人間の身体にたとえれば、脊髄と小脳の働きをしているのが私だ」 ロジャーは小首を傾げたが、直ぐに一つのことに思い当たり、余裕を持った態度を取り戻す。 何事も驚かされっぱなしというのはどうにも受けに回っているようで落ち着かないものだ。 「なるほど、今私は巨大なアンドロイドのお腹の中にいるというわけか」 「そう解釈してもらって構わない」 「では互いの紹介もすんだところで交渉に移らせていただきたいが――」 そこで一度言葉を区切り瞼を閉じた。 瞳の奥に想いを巡らせる。長い一日の間に起きた幾つかの情景が目まぐるしく、しかし鮮やかに過ぎ去る。 ここで話を持ちかける以上、やはり彼女のことは語らねばなるまい。そんな思いが体のうちから湧き出てきていた。 「リリーナ=ピースクラフト。この殺し合いを望まなかった一人の少女の話を聞いてもらいたい」 そう言って切り出したロジャーの瞳はどこか寂しげな哀愁の色を浮かべていた。 話は彼女との出会いから始まる。 彼女と出会い、誇りを失いかけた自分が何を思い、何を考えたのか。それを赤裸々に自らの心理を語る。 そして話は彼女の理念と行動を伝え、彼女自身の死を持って閉じられた。 その最後に『私はここでは彼女の代弁者に過ぎない』と言葉を添える。 場が静寂に満ちる。誰もが何かを考えこんでいる。そんな静寂の中、ロジャーはソシエ=ハイムの目をじっと見ていた。 そこには思いがある。 『返答は?』と無言で自分に問いかけた来たあの切れ長の目。それを意識せずにはいられなかった。 同時にあれと同じ思いを込めたつもりでロジャーはソシエを見つめていた。 「……あなたの言うことも分かります。だけど」 静寂はあらぬ方向から静かに破られることとなった。言葉を発したのは一人の少年――いまだ寝ていたと思われたキラ=ヤマト。 いつの間にか起き上がっていた少年は、一度ロジャーと目を合わせるとスッと逸らしソシエへと視線を向けた。 「キラ、気づいてたの?」 「うん。少し前からね……ソシエ、ムサシさんとテニアは?」 ソシエは目を伏せ、沈黙を答えにして返す。 「そうか……ロジャーさん、あなたの言いたいことは分かります。 だけど、想いだけでは足りない。想いだけでも、力だけでも足りないんだ。 守らないと死んでいく人がいる。あってはならないモノが人に恐怖を与えることがある。 だったら誰かが力にならなくちゃいけない」 言葉を発するキラの目に宿るのは悔恨の情。知る者を、大切な人を守ることも出来ずに死なせてしまったという後悔。 そこに込められた想いを感じ取り、一瞬ロジャーの口は重くなった。しかし、だからといって反論をしないわけにはいかない。 「ならば聞かせてもらう。君の言う力とは武力のことか? それとも暴力のことか?」 「それは……」 キラの目が泳ぐ。しかし、それも一瞬。直ぐに目の光を強くなり、真っ直ぐにキラが答える。 「武力です。誰かの為に盾になる。誰かの為に犠牲になる。人を守るための力が必要です」 少年の言葉と態度、その両方にロジャーは人知れず感嘆の溜息を吐いた。 キラの考えは誤ってはいない。どちらかと言うとリリーナの考えよりも自分の考えに近いと思うことも出来る。 ネゴシエイションに値しない者には鉄の拳を、それはロジャーの信念でもあった。 だが、ロジャーは交渉人――ネゴシエイターである。 つまるところの代理人。彼女の願いを優先するのは仕事でもあり、また志半ばで散っていったものに対する人情でもあった。 それに力は武力だけではない。そのことを誰よりも知り、また信じているのも彼自身である。 「なるほど君の答えは間違えではないだろう。だが、あくまで間違いではないというだけに過ぎない。 武力と暴力は紙一重。 心ない者が持てば武力は暴力に変わる。また心ある者も時に道を踏み外す。それに、力が人の道を踏み外させることも多い」 そこで言葉を区切ったロジャーは悩む。言うべきか、言わぬべきか。 出来れば言いたくはない。言えば論戦には勝てるかもしれないが、この少年の心に傷をつくることになる。 だが言わねばなるまい、とロジャーは胎に力を込める。 「現に、君は一度道を踏み外した」 「どういうことです?」 「前の戦闘。そこで私は仲間を失った。この戦艦と争っていた戦艦ダイに乗っていたのは、まだ二十歳そこそこの女性だ。 彼女もリリーナ嬢の話を聞いたときに言っていたよ。大切なものを守るために武器を手に取った人達に武器を捨てろとは言えない、と。 不幸な要素が多々あったことは紛れもない事実だ。だが、君が手にした力は君と同じ想いを抱いたものを討った」 その言葉にキラはサッと蒼ざめ、うつむくようにして押し黙った。 結論から言えば、そのことを口走ったのはロジャーの失言であった。 リリーナは死んだ。ユリカも恐らくは死んでいる。その二人の死を意味のないものにしてはならない。 そういった想いが、ロジャーの言葉を知らず知らずのうちに固くきついものに変えている。 語調に責めるような響きが無意識のうちに込められていたのだ。 最後に諭すように「だが、力は武力だけではない。言葉に力が宿ることもある。私はリリーナ嬢の言葉に動かされここにいる」と付け加えられた言葉は、しかし、キラに跳ね除けられることになる。 人は攻められると咄嗟に自分を守ろうという本能が働く。それは言葉でも変わらず、心理的に追い込まれたキラは逆に牙をむいた。 「あなたたちはどうなんですか? 武力を行使するべきではないと言いながらあんなものに乗っている。矛盾してるじゃないですか! ソシエが砲撃を浴びた。足を折られた。ダイは人々に恐怖を与えるあってはならないものと考えてしまうのは当然でしょ?」 「……っ!」 一瞬、ロジャーが言葉に詰まる。リリーナの掲げる完全平和主義と自身の行動の矛盾。 それはロジャー自身が自覚していることでもある。だからこそ彼はここで意固地になった。 「ユリカ嬢が砲撃を加えたのには幾つかの不幸な間違いがある。それを許せとは言わない。 だが、君達もまたもう少し冷静に対処するべきだったと私は思っている」 「それは互いに言えることです。それに、前半の返答はないんですか?」 「君の言うとおりだ。私自身、武力を保持している。だが、私はそれに頼ってはいない。 君達の前で機体から降り、交渉に赴くということもしてみせた。 交渉ごとに武力は必要ない。銃を右手に仲良くしましょうと言われて信じる人はいない」 そして、熱を孕んだ両者の頭は留まるところを知らずヒートアップしていき、議論が互いの牽制へと姿を変え始めた頃、スパーン、と二度小気味の良い音が鳴った。同時に怒声が飛ぶ。 「二人とも、いい加減にしなさーい!!」 ロジャーとキラ、二人が振り向くとそこにはどこから取り出したのかハリセン片手に仁王立ちしているソシエの姿があった。 心なし背後がメラメラと燃えているような気がする。 やや圧倒されながらも互いに『こいつが悪い』と抗弁しようとした二人を「うるさいっ!」と大声で一括。 悪さをした兄弟を叱る肝っ玉母ちゃんの図式が瞬く間に出来上がる。とそこへトモロが割って入った。 「小さすぎて内容は定かではないが、外部から微かな声を拾った。どうする?」 Jアークは戦闘終了後から禁止エリアであるD-4を避けながらも北上を続けていた。 そして現在、E-3の一方向だけ扇状に欠けた円形とでも言うべきクレーターの上空にいる。 そのクレーターの内部に粉々に砕けた一つの機体があり、人影はない。 「トモロ、降りてみよう。人が生きているのかもしれない」 「あそこに何か埋めたような後があるわ」 「トモロ、感知した声をこちらに回せるか?」 「可能だ」 三人が口々に勝手なことを口走り、Jアークが降下を始める。暫くして、艦内に拾った音が流れ始めた。 弱く小さいながらも微かに何かが耳に届く。高い音域を行き来し旋律するその調べはまるで―― 「何これ? 歌みたい」 【キラ・ヤマト 搭乗機体:Jアーク(勇者王ガオガイガー) パイロット状態:ジョナサンへの不信 機体状態:ジェイダーへの変形は可能?各部に損傷多数、EN・弾薬共に30% 反応弾を所持。 現在位置:E-3ラクスの墓上空 第一行動方針:? 第二行動方針:このゲームに乗っていない人たちを集める 最終行動方針:ノイ=レジセイアの撃破、そして脱出】 備考:Jアークは補給ポイントでの補給不可、毎時当たり若干回復。】 【ソシエ・ハイム 搭乗機体:無し パイロット状況:右足を骨折、気力回復 機体状況:無し 現在位置:E-3ラクスの墓上空 第一行動方針:歌? 第二行動方針:新しい機体が欲しい 第三行動方針:仲間を集める 最終行動方針:主催者を倒す 備考:右足は応急手当済み】 【ロジャー・スミス 搭乗機体:騎士凰牙(GEAR戦士電童) パイロット状態:肋骨数か所骨折、全身に打撲多数 機体状態:左腕喪失、右の角喪失、右足にダメージ(タービン回転不可能) 側面モニターにヒビ、EN70% 現在位置:E-3ラクスの墓上空(凰牙はJアーク甲板) 第一行動方針:Jアークと交渉 第二行動方針:ゲームに乗っていない参加者を集める 第三行動方針:首輪解除に対して動き始める 第四行動方針:ノイ・レジセイアの情報を集める 最終行動方針:依頼の遂行(ネゴシエイトに値しない相手は拳で解決、でも出来る限りは平和的に交渉) 備考1:凰牙は通常の補給ポイントではEN回復不可能。EN回復はヴァルハラのハイパーデンドーデンチでのみ可能 備考2:念のためハイパーデンドー電池四本(補給二回分)携帯 備考3:ワイヤーフック内臓の腕時計型通信機を所持】 【二日目4:00】 BACK NEXT これから 投下順 『未知』と『道』 『未知』と『道』 時系列順 Withdrawal Symptoms BACK NEXT ・――言葉には力を与える能がある キラ 張り詰めすぎた少年 ・――言葉には力を与える能がある ソシエ 張り詰めすぎた少年 ・――言葉には力を与える能がある ロジャー 張り詰めすぎた少年
https://w.atwiki.jp/nanaitatrp/pages/529.html
09/11/15~09/12/22 【なりきり】スーパーロボット大戦【参加者募集中】 ログ 本スレ 避難所 テンプレ キャラクターテンプレ
https://w.atwiki.jp/k2727324602/pages/403.html
<no image...> 「自分の能力に自信を持つことは結構だ。だが過信してはいかんよ。 いいかね。これはいつも言うことだが、3人の堅い堅いチームワークがなければ、強大な敵を倒すことはできない!分かるか?」 (早乙女博士/TVアニメ・第5話) <リンク集> 位置づけとしては「教科書・参考書」。 ゲッターロボ-TOEI ANIMATION(公式):http //www.toei-anim.co.jp/lineup/tv/getter/ Wikipediaゲッターロボ <作品概要> <◆基本情報> 本ページの対象作品ゲッターロボ(TVアニメ) <◆主要人物> 人類(地上人)サイド早乙女研究所所員とその関係者流竜馬(声:神谷明):主人公1。 神隼人(声:山田俊司):主人公2。 巴武蔵(声:西尾徳):主人公3。 早乙女ミチル(声:吉田理保子):ヒロイン。 早乙女元気(声:菊池紘子) 早乙女博士(声:富田耕生) 早乙女和子(声:菊池紘子 ※千々松幸子[20]) 早乙女達人(声:野田圭一):早乙女博士の長男。第1話で死亡。 ジョーホー(声:富田耕生):武蔵の柔道部の後輩。 大枯紋次[おおがらし もんじ](声:矢田耕司):早乙女研究所の近所に存在する「世界発明研究所」の所長。 朝太郎(声:緒方賢一):紋次の開発した助手ロボット。 神明日香(声:菊池紘子):隼人の姉。 神大造(声:矢田耕司):隼人の父。神重工業社長。 流竜作(声:神弘無):竜馬の父。 主要ゲストジャック・キング(声:井上真樹夫):第21話。テキサスマックの操縦者。 メリー・キング(声:中谷ゆみ):第21話。ジャックの妹。 早乙女ミユキ / ゴーラ皇女(声:つかせのりこ):第22話。ゲッターQのパイロット。 勝田博士(声:?):第28話。ゲッター線第2発電所の責任者。 サオリ(声:?):第39話。脳腫瘍に冒された少女。 恐竜人(恐竜帝国)サイド幹部帝王ゴール(声:神弘無) バット将軍(声:緒方賢一) ガレリイ長官(声:山田俊司[キートン山田]) 大魔神ユラー(声:矢田耕司) :第27話から登場。恐竜帝国の真の支配者。 主要キャプテンキャプテンラドラ(声:緒方賢一) :第9話に登場。シグザウルスのパイロット。 地竜族シック(声:) :第16話に登場。早乙女研究所をすんでの所まで追い詰める。 キャプテンザンキ(声:野田圭一) :第18話に登場。バット将軍の甥 女竜戦士ユンケ(声:菊池絋子) :第34話に登場。竜馬の妹に変装する <◆使用楽曲> OPテーマ:ゲッターロボ! / ささきいさお EDテーマ:合体!ゲッターロボ / ささきいさお、コロムビアゆりかご会 劇中歌・挿入歌ゲッターロボわが命 / ささきいさお 平和の戦士たち / 水木一郎 カムオンゲッター1・2・3 / ささきいさお、コロムビアゆりかご会 [34話他] <◆シナリオ時系列> TVアニメ 第1部 帝王ゴール地上侵攻篇(※管理人による便宜上の分類)第1話 無敵! ゲッターロボ発進 第2話 決戦! 三大メカザウルス 第3話 恐竜帝国レインボー作戦 第4話 燃ゆる血潮の南十字星 第5話 闇をつらぬけゲッターチーム 第6話 恐竜!東京ジャック作戦 第7話 悪を許すな突撃ラッパ 第8話 危機一髪ゲッター2 第9話 栄光のキャプテンラドラ 第10話 急降下!ゲッター3は行く 第11話 激突!ドリル対ドリル 第12話 吠える!不死身のウル 第13話 一本勝負!大雪山おろし 第14話 紅の空に命を賭けろ!! 第15話 悠子に捧げるバラード 第16話 恐竜帝国の謎を追え 第17話 狙われた設計図 第18話 恐竜帝国のすごい奴 第19話 リョウ最後の出撃! 第20話 大空襲!突然の恐怖 第21話 アメリカから来たロボット 第22話 悲劇のゲッターQ 第23話 浅間山の大発明狂 第24話 大要塞に向って撃て 第25話 合体!風速100m 第26話 帝王ゴール大噴火作戦 第2部 大魔神ユラー出現篇(※管理人による便宜上の分類)第27話 大魔神ユラーの怒り 第28話 襲撃!地竜族三人衆 第29話 洪水地獄の死闘 第30話 不死鳥の甦る時 第31話 危機! ハヤトよ立ち上がれ 第32話 恐怖! 赤い霧の罠 第33話 果てしなき大空に誓う! 第34話 女竜戦士ユンケの涙 第35話 ムサシ! 男はつらい 第36話 要塞撃滅! トロイ作戦 第37話 悪の指令! 博士を狙え 第38話 魔の海からの脱出!! 第39話 悲しみは流れ星の彼方に 第40話 日本列島凍結作戦! 第41話 姿なき恐竜空爆隊 第42話 北極に進路をとれ! 第43話 奪われたゲッターロボ 第44話 ムサシ! 怒りの海底 第45話 脱出! 宇宙の墓場 第46話 恐るべき氷竜族の侵略 第47話 帝王ゴール地上に現わる! 第48話 マグマの恐竜帝国へ突入! 第49話 大爆発! くたばれ恐竜帝国 第50話 帝王ゴール決死の猛反撃 第51話 恐竜帝国のほろびる日 (Fin) <◆参戦済スーパーロボット大戦リスト> 関連ページ:スーパーロボット大戦 No 作品 略称 発売日 ハード 備考 ※ スーパーロボット大戦α外伝(ゲームアーカイブス) α外伝AS 2011/12/21 ※ 表示略 ※ スーパーロボット大戦α(ゲームアーカイブス) αAS 2011/12/21 ※ 表示略 ※ スーパーロボット大戦F完結編(ゲームアーカイブス) F完AS 2011/11/9 ※ 表示略 ※ スーパーロボット大戦F(ゲームアーカイブス) FAS 2011/11/9 ※ 表示略 ※ 第4次スーパーロボット大戦S(ゲームアーカイブス) 第4次AS 2011/7/6 ※ 表示略 ※ スーパーロボット大戦EX(ゲームアーカイブス) EXAS 2011/1/26 ※ 表示略 ※ 第3次スーパーロボット大戦(ゲームアーカイブス) 第3次AS 2011/1/26 ※ 表示略 ※ 第2次スーパーロボット大戦(ゲームアーカイブス) 第2次AS 2011/1/26 ※ 表示略 45 スーパーロボット大戦A PORTABLE AP 2008/6/19 PSP 表示略 ※ スーパーロボット大戦i(A) i(A) 2006/2/6 iモード 表示略 38 スーパーロボット大戦MX PORTABLE MXP 2005/12/29 PSP 表示略※ 36 第3次スーパーロボット大戦α -終焉の銀河へ- 3次α 2005/7/28 PS2 ※ 33 スーパーロボット大戦MX MX 2004/5/27 PS2 ※ 32 スーパーロボット大戦Scramble Commander SC 2003/11/6 PS2 29 第2次スーパーロボット大戦α 2次α 2003/3/27 PS2 26 スーパーロボット大戦IMPACT IMPACT 2002/3/28 PS2 25 スーパーロボット大戦COMPACT for WonderSwanColor WSC 2001/12/13 WSC 表示略 24 スーパーロボット大戦A A 2001/9/21 GBA 23 スーパーロボット大戦α for Dreamcast αDC 2001/8/30 DC 表示略 22 スーパーロボット大戦α外伝 α外伝 2001/3/29 PS 21 スーパーロボット大戦COMPACT2 第3部 銀河決戦編 COM2-3 2001/1/18 WS 20 スーパーロボット大戦COMPACT2 第2部 宇宙激震編 COM2-2 2000/9/14 WS 19 スーパーロボット大戦α α 2000/5/25 PS 18 スーパーロボット大戦COMPACT2 第1部 地上激動編 COM2-1 2000/3/30 WS - スーパーロボット大戦EX EXPS 2000/1/6 PS 表示略 - 第3次スーパーロボット大戦 第3次PS 1999/12/22 PS 表示略 - 第2次スーパーロボット大戦 第2次PS 1999/12/2 PS 表示略 17 スーパーロボット大戦64 64 1999/10/29 N64 16 スーパーロボット大戦リンクバトラー LB 1999/10/1 GBC 原作なし 15 スーパーロボット大戦コンプリートボックス CB 1999/6/10 PS 14 スーパーロボット大戦COMPACT COM 1999/4/28 WS 13 スーパーロボット大戦F完結編 F完PS 1999/4/15 PS 表示略 12 スーパーロボット大戦F FPS 1998/12/10 PS 表示略 - 全スーパーロボット大戦 電視大百科 電視 1998/10/29 PS 原作なし 11 スーパーロボット大戦F完結編 F完 1998/4/23 SS 10 スーパーロボット大戦F F 1997/9/25 SS 7 第4次スーパーロボット大戦S 第4次S 1996/1/16 PS 表示略 6 第2次スーパーロボット大戦G 2次G 1995/6/30 GB 5 第4次スーパーロボット大戦 4次 1995/3/17 SFC 4 スーパーロボット大戦EX EX 1994/3/25 SFC ※ 3 第3次スーパーロボット大戦 3次 1993/7/23 SFC 2 第2次スーパーロボット大戦 2次 1991/12/29 FC 1 スーパーロボット大戦(初代) 初代 1991/4/20 GB ※:主役機(ゲッターロボ)が登場しない作品。 (参考)スパロボ採用楽曲ゲッターロボ!(OP曲)スーパーロボット大戦(初代)(戦闘BGM)、他 合体!ゲッターロボ(ED曲)スーパーロボット大戦Scramble Commander(必殺技BGM)、他 <関連情報、その他雑感> <◆イベント時系列表>作品の主要事項を時系列順に整理。ネタバレには注意。 ゲッターロボ イベント時系列表恐竜帝国キャプテン一覧 メカザウルス一覧 主なできごと(参考:SRWでの採用状況) <◆管理人一押しポイント> ◆TVアニメ ・一押しの見どころ 22話~早乙女ミユキの涙(同順)23話~前話から一転してのコメディ回 ・最もお気に入りのキャラクター (男)ゲッターチーム3人(女)早乙女ミユキ/女竜戦士ユンケ <◆鑑賞記録> 2010年5月以降に鑑賞した分。◆TVアニメ(2011/9視聴完了) ゲッターロボ 鑑賞備忘録